【復習】2024-03-11⇒2024-03-15【相場材料とチャート】

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ざっくり振り返る 最近の相場材料

まずは各国の大まかな状況を、箇条書きでざっくり振り返りましょう。今週の出来事にはNEWマークを付けています。

アメリカ

NEW 2月分のCPIPPI ⇒ 前回に続いて、いずれも市場予想を上振れる堅調さで、市場はドル買いで反応

・直近のISM製造業ISM非製造業 ⇒ ともに予想下振れ。製造業では『新規受注指数』で、非製造業では『雇用指数』で低下が目立ち、市場はドル売りで反応。

・直近の雇用関連の指標(ADP民間雇用者数JOLTS求人件数雇用統計) ⇒ 市場はいずれもドル売りで反応。(項目別では堅調だった部分もある)

利下げ開始時期について、市場の織り込みは6月。次週3月21日のFOMCではドットチャートが公表される。

日本

NEW 春季労使交渉(春闘)の第1回集計結果は5.28%の賃上げと良好。ただし、市場は良い数字を織り込み済みだった様子。「噂で買って事実で売る」状態となり、公表後は円売りが加速。

NEW GDP二次速報は年率プラス0.4%と、一次速報のマイナス0.4%から上方修正

・従前は4月以降とみられていたマイナス金利解除が3月会合で実施されるとする観測記事が複数社から出ている。

・日銀の植田総裁は、マイナス金利解除を検討するにあたっては「春闘が大きなポイント」と話している。

ユーロ圏

NEW ECB理事会メンバーでギリシャ中銀総裁のストゥナラス氏が「2024年に4回の利下げは妥当」「できるだけ早く金利引き下げを開始する必要がある」と発言。経済状況がまったくことなる国が集まるEUでは、理事会内で利下げに関する姿勢にかなり差がみられる。

・今月行われたECB会合では政策金利が据え置かれ、インフレ見通しが下方修正された。

利下げ開始時期については「6月には利下げ判断に必要なデータが揃っているだろう(ラガルドECB総裁)」、「夏休み前に利下げの可能性(ナーゲル独連銀総裁)」、「4月か6月に利下げの公算が非常に高い(ビルロワドガロー仏中銀総裁)」など

しっかり振り返る 今週の相場動向

今週の高値は金曜日の夜に付けた149円10銭台。安値は月曜日の146円50銭付近でした。それでは、今週の相場を動かした材料を時系列に沿ってしっかり振り返ってまいりましょう。

Monday 11日月曜日は日本の10-12月期GDPの二次速報値が発表されています。前回の一次速報は年率マイナス0.4%、前期比マイナス0.1%と、いずれもマイナスで不安材料のひとつでした。それが今回の二次速報では年率プラス0.4%、前期比プラス0.1%と、いずれもプラス値に上方修正され、やや円買い要因に。先週のドル売りの流れもあって、ドル円は上値の重い展開が続きます。また、夕方ごろに春闘で注目されている経団連の十倉会長が会見で下記のようにコメントしています。

経団連会長
経団連会長

今年の春闘は昨年以上の賃上げのモメンタム(機運)を感じる。

大企業だけでなく中小企業にも大いに期待している。

日銀が遠くない未来に金融正常化にかじを切る可能性は高いが、それが3月会合かは分からない。

ところで、この日は日経平均株価の値崩れがSNSでも話題に。取引時間中の最安値は3万8400円台と、先週の終値(3万9600円台)から一時1000円以上の下落もみられました。1~2月のドル円の上昇は株価の高騰と連動したものでしたから、この日は株価の下落というのも円売りに傾きにくかった理由のひとつと考えられます。

逃げ足の速い
リス
逃げ足の速い リス

日経平均株価の下落原因についてですが、まず先週の木曜日の急落についてはMSQ日前の利確売りが一定程度あったものと思われます。

あわてんぼうの
カエルさん
あわてんぼうの カエルさん

MSQ……

かしこそうな
シカさん
かしこそうな シカさん

M『メジャー』S『スペシャル』Q『クォーテーション』だね。

先物取引オプション取引は、同じポジションを持ち続けることができないんだ。

あらかじめ決められた期日があって、基本的には期日までになるべく良い価格で決済するんだけど、もし期日までに決済しなかったら強制的に決済される

この強制決済をSQ(スペシャル・クォーテーション)と呼ぶんだ。

日経225のオプション取引のSQ日は、毎月第2金曜日

日経225の先物取引のSQ日は四半期ごとに設定されていて、3月、6月、9月、12月の第2金曜日なんだ。

第2金曜日ってことは、先物取引のSQ日はオプション取引のSQ日と重なるよね。

この、四半期ごとにやってくる「オプションと先物のSQ日が重なってる日」が、MSQ(メジャーSQ)日だよ。

月曜日のニューヨーク時間は大きな経済指標がなく、翌日に米CPIを控えていることもあってドル円は146円台後半で小幅な値動きでした。147円に頭を出しては叩かれ、どちらかというと売り機運のほうが強い雰囲気の相場。終値も147円には乗せきれませんでした。

Tuesday 12日火曜日の東京時間は、鈴木財務大臣植田総裁の発言を受けて円売りに傾きました。

鈴木財務大臣
鈴木財務大臣

高水準の賃上げや過去最大規模の設備投資など、前向きな動きがみられる。

デフレ脱却に向けて千載一遇のチャンスを迎えている。

しかし、再びデフレに戻る見込みがないと言える状況には至っておらず、デフレから脱却したとまでは考えていない

デフレ脱却に何が足りないのか、一概には申し上げられない。

植田総裁
植田総裁

我が国の景気は、一部の統計で弱めの動きもあるが、緩やかに回復している。

個人消費は非耐久財消費に弱めの動きがうかがわれる

お二方の発言内容にはこれといって目新しい情報は含まれていなかったのですが、翌週に控える日銀会合に向けて、市場は日本の要人発言に相当、過敏になっているものと思われます。ドル円は147円台に明確に戻ってきて、これ以降は週末までに一度も147円を割っていません。

前週の金曜日の夕方以降は値幅の狭いレンジ相場が続いていたことで147円ちょうどに売り買いの注文が溜まっていたことも、急激な値動きの一因になったと考えられます。

火曜日の夜に発表された米CPIは、コア値が0.4%(予想0.3%、前回0.4%)と、予想値から上振れたことで市場はドル買いで反応しています。ドル円は一時的に148円に乗りましたが、すぐに全戻し。その後も何度か148円にアタックしましたが跳ね返され、終値は147円60銭台で引けています。

Wednesday 13日水曜日春闘の集中回答日でした。トヨタや日産、パナソニックなどが労働組合の要求額に対して満額回答。また、日本製鉄は要求額を上回る回答を出すなど、おおむね良好な結果が伝わりました。マイナス金利解除を後押しする材料として、市場は円買いで反応。林官房長官は下記のようにコメントしています。

林官房長官
林官房長官

賃上げの力強い動き、大いに評価したい。

中小企業に広がることが重要。

地銀協会の会長の発言も報じられています。

地銀協会長
地銀協会長

仮に今月政策変更があっても、リスク管理上の大きな影響はない

金利上昇に耐えれるリスク管理を整えている。

マイナス金利解除でも市場金利の大きな変動は想定せず。

しかし、この日の午後、大きく円売りが入っています。原因は衆議院予算委員会で答弁に立っていた岸田総理の発言でした。野党議員から「今はインフレなんですか?デフレなんですか?」と質問された総理は下記のように答弁。

岸田総理
岸田総理

消費者物価はこのところ緩やかに上昇していると認識している。

ただ、デフレ脱却というのが「デフレに戻る見込みがない状態」を指すとするなら、そういう状況には至っていない

したがってデフレ脱却には至っていないと考えている。

デフレ脱却の判断は金融政策の変更そのものと連動しない

マイナス金利解除のタイミングを含め、具体的な金融政策の手法は日銀に委ねる。

発言の内容自体は前日の鈴木財務大臣と同じですから、単に用意されたテンプレ回答なのだと思われます。ただ、やはり立場の違いもあってか、「デフレ脱却には至っていない」の部分だけ海外でもヘッドラインで流れたために急な円売りを招きました。

それから、市場の反応は薄かったのですが「最低賃金1500円の目標を前倒しする」というニュースも出ていますね(参照:日経新聞)。

これまでの目標は、全国平均1004円という現在の水準を2030年代半ばまでに1500円に上げることだったのですが、これを前倒しするという話です。

総理は予算委員会でも「今年の賃上げ機運を一過性のものにせず、継続的に賃金と物価の好循環を目指したい」というニュアンスの発言をしています。

ドル円は前日に続いて148円の壁に何度もアタックしては跳ね返されて、147円後半で引けています。

Thursday 14日木曜日の日中は前日の高値も安値も更新できない揉み合いに。夜に複数の米指標が控えていたため、様子見ムードといった雰囲気でした。

その指標ですが、PPI新規失業保険申請件数が市場予想を上振れています。特にPPIの総合が1.6%(前回0.9%)と、予想の1.1%を大きく上回りました。一方で、小売売上高は総合が0.6%と市場予想の0.8%を下振れ。この小売売上高の総合値については、前回結果のマイナス0.8%がマイナス1.1%に下方修正されていることもあって、今回プラス転じたとはいえ冴えない印象。ドル円は丸2日もアタックし続けた148円に分厚い売買注文の壁ができていたことと、この強弱入り混じる指標結果が合わさって乱高下する展開となりました。

147円70銭台で指標発表を迎えたドル円は初動で20銭以上跳ね、148円手前の売り注文の壁に阻まれて急落。

ロングの損切りを巻き込んで40銭落ちて、今度は揉み合ってきたレンジ下限の買い注文とショートカバーが入って148円に到達。

到達したことで今度は148円ちょうどの利確や損切りの注文を引っ掛けて60銭落ち、147円の前半に入ったものだからまた強い買いが入り、これが148円30銭台まで吹き飛ぶ燃料となりました。

Friday 15日金曜日はゴトー日のドル買いもあって仲値前に148円50銭台を付けています。この水準は、高田委員の発言(「物価目標の実現が見通せる状況になってきた」)以降の下落分に対して、だいたい半値戻しのラインですね。その後も安易な逆張りショートが切らされ続けるような展開でなかなか落ちてきませんでした。

動いたのは16時前。春闘の第1回集計結果が報じられ、5.28%の賃上げというヘッドラインで一時的に円買いが入りました。しかし、ここ数日の報道で強い数字は織り込み済みだったとみられ、148円の買い注文に阻まれて反発するとそのまま強烈なショートカバーに負けて、ほとんど押し目を作ることなく148円90銭の手前まで吹き上がりました。この時点で、149円到達は時間の問題という雰囲気に。なお、このタイミングで鈴木財務大臣の発言が報じられています(参照:日経新聞)。

鈴木財務大臣
鈴木財務大臣

消費者物価は緩やかに上昇している。

政府としては現在、デフレの状況にはないという認識

インフレかデフレかということではない。

このニュースだけだと意図が分かりにくい発言ですが、岸田総理の「デフレ脱却に至っていない」という発言に対して市場が大きく反応したことを受けてのフォローという感じがします。

まず、政府として「現状はデフレか」と聞かれたら、答えは「そうではない」。

だからといって、「現状はインフレか」と聞かれると、政府としても国民の感覚としても「そうです!」と答えられる状況ではない。

そして、政府としては「デフレ脱却を当面デフレに戻ることがない状態と定義するなら、楽観的な言葉を公式見解として発信することはできない」。

……というニュアンスが、発言の一部し取り上げられないヘッドラインだけではつかみきれませんね。

そして、ニューヨーク時間にはまずNY連銀製造業景気指数が発表され、これが下振れたことでドル円のチャートは程よい押し目ができた格好になって上値トライを再開。続いて発表された鉱工業生産が市場予想を少し上振れたことで上昇の燃料が追加され、さらにそのあとのミシガン大消費者信頼感指数が下振れたことによる下落で再び押し目を作るといった調子で、ドル円は順調に上昇トレンドを形成して149円に乗せました。上昇チャネルの上限でもあった149円10銭台で満足すると、そのまま149円台で週を終えています。

次週に向けて

次週の注目材料とチャートの分析はこちらの記事で。最後までお読みいただき、ありがとうございました!