【復習】2024-02-19⇒2024-02-23【相場材料とチャート】

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ざっくり振り返る今週の相場材料

今週の高値はFRBメンバーのタカ発言などもあって米国債の利回りが上昇した金曜日の150円70銭台安値は火曜日の149円60銭台で、こちらはアメリカの景気先行指数が下振れしたことをきっかけとしたドル売りによるものでした。では、今週も全体の流れを振り返りましょう。

 19日月曜日は中国が春節の大型連休明け、一方でアメリカとカナダはPresident’s Day(大統領の日)で休場という日でした。東京市場が開場する前、アメリカ時間では日曜日の夜ですが、元FRBメンバーで当時はタカ派として知られたブラード氏が「FRBは3月に利下げすべき」と発言したと伝わりました(参照:ForexLive)。先週の中盤~終盤にかけて明らかに上値の重さを感じさせていたドル円は、8~9時台のシンガポール勢が中心とみられる売りで150円を割ると、その後は150円を挟んだ神経質な揉み合いに。

 20日火曜日の東京時間にはRBA議事録が公開されました。先のRBAでは金利が据え置かれましたが、注目はこの時に利下げの議論があったのかという点でした。しかし、公開された議事録によると議論はむしろ「据え置きか利上げか」を話し合うものだったようで、豪ドル買い要因になりました。また、そのあとに中国の実質的な政策金利である貸出基礎金利(ローンプライムレート)が発表されています。こちらは5年物のレートを25bp引き下げる内容。発表直後はアジア株やオセアニア通貨で下落が見られましたが、その後は買い支えられました。中国の中央銀行は1月に預金準備率も50bp引き下げていますから、やはり景気減速を感じますね。連休明けのニューヨーク市場では、1月米景気先行指標の総合指数が予想を下回ったことを受けて、景気減速を警戒した米債買いが入りました。米債利回りが下がって、ドル円は一時149円70銭を割る下落で今週の最安値を付けました。しかし、先週のCPIやPPIが強かったこともあって149円90銭を割ると積極的に買われる底堅さを見せました。

 21日水曜日は、帝国データバンクが『2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査』を発表しています(参照:帝国データバンク)。これによると、「企業の6割で賃上げ見込み、賃上げ率は平均4.16%と試算」とのこと。日銀の植田総裁はマイナス金利解除の条件として賃金の上昇を重視する方針を示しておられますから、金融政策の正常化にまた一歩近づいたといえそうです。

かしこそうな
シカさん
かしこそうな シカさん

とはいえ、マイナス金利解除は既定路線でチャートに織り込み済みとも考えられるから、強い円買い要因にはなりにくいよね。

 さて、水曜日のニューヨーク時間には米20年債の入札がありました。結果は不調で、米債利回りが上昇。そのあとに公表されたFOMC議事録は早期利下げを否定する内容でややドル買いが入りましたが、サプライズといえるほどの中身はなかったため利益確定の売りも出たようです(参照:みんかぶ)。そして、注目されていたエヌビディアの決算は事前予想を上回る好結果でしたね。調整で売られていたエヌビディア株は時間外取引で上昇しています。

 22日木曜日はエヌビディアの好決算を受けて、朝から日経平均株価の史上最高値更新の成否に注目が集まりました。株価の上昇とともにドル円とクロス円が上昇し、NZドル円、ポンド円、豪ドル円が相次いで2014~2015年以来の高値を記録。この日の日経平均株価はザラ場の最高値が3万9156円引けも3万9000円台に乗せたまま終えて、文句なしの史上最高値更新となりました。

「庶民は好景気を実感できないのに」という声も聞かれ、素直に「おめでとう」と言っていいのか微妙な空気のなかでの高値更新となりました。

ところで、円から見ると最高値となった日経平均も、ドルから見るとまだ割安。

円の価値が下がっているなかで、『投資ってよく分からないし怖いから円で貯金するだけ』みたいな資産形成は、むしろリスクを取りすぎているようにも思えます。

どういう方法を取るかはもちろん自由なんですが、きちんと自衛の意識を持つことが大事だなぁと、つくづく感じた1日でした。

 木曜日の続きです。ニューヨーク時間には新規失業保険申請件数が発表されていますが、予想を下振れて雇用の堅調さを感じさせました。また、ジェファーソンFRB副議長が発言の中で「年内の利下げは適切」としながらも、過度な利下げには慎重姿勢を示しています(参照:Bloomberg)。

 23日金曜日は日本が天皇誕生日で休場でしたが、朝の9時半過ぎにウォラーFRB理事の発言でドル買いが入るなど、一定のボラティリティがある東京時間となりました。発言の内容は「インフレ見通しには上振れリスクがある」「1月のCPIの結果を受け、あと数カ月分のインフレ統計を確認する必要がある」「利下げを遅らせることによるリスクよりも、拙速な利下げによるリスクのほうが高い」といった主旨のもの。先のジェファーソン副議長の発言と合わせて、米国債利回りの上昇を誘いドル買い要因になりました。一方で月末が迫る週末ということでポジション調整の動きもあり、ドル円は先週の高値を越えられず、金曜日の日足は陰線で引けています。

次週に向けて

 次週の注目材料はこちらの記事で。最後までお読みいただき、ありがとうございました!