2024年02月12日~16日

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ざっくり振り返る今週の材料

今週の高値は火曜日、米CPIの発表後に付けた150円80銭台安値は月曜日、CPI前夜の調整っぽい下落で付けた148円90銭台でした。では、今週も全体の流れを振り返っていきましょう。

 12日月曜日は日本が建国記念の日の振替で休場でした。翌日の夜に注目度の高い経済指標である米CPIを控えていることもあり、方向感の欠ける展開に。

 13日火曜日の東京時間は、日経平均株価が一時3万8000円を突破したことが話題に。いよいよ34年前に付けた史上最高値(3万8915円)の更新を目指す流れですね。夜に発表された米CPIは市場予想を上振れ。特にサービス価格の伸びが印象的でした。これを受けて、3月のFOMCでの利下げ織り込みはほぼ完全に剝落。5月の利下げ予想も劣勢になりました。また、米債利回りが上昇し、株価は下落、ドルが全面高に。ドル円は昨年11月17日以来、約3ヵ月ぶりに150円台に乗りました。(参照:Bloomberg

 14日水曜日はドル円が再び大台の150円に乗ったことを受けて、要人による円安けん制発言が相次ぎました。主な発言内容は以下のとおり。

神田財務官
神田財務官

最近の動きはかなり急速。高い緊張感を持って為替市場を注視する。

ファンダメンタルズに沿っている部分と、明らかに投機的な動きと両方あって、後者の部分はいかがなものかと思う。

状況を踏まえて最も適切な対応を取る。

災害対応と一緒で、24時間365日いつも何か起こった時に対応できるような準備をしている。

鈴木財務相
鈴木財務相

急激な変動は望ましくない。安定的に推移すべき。

林官房長官
林官房長官

高い緊張感を持って注視していく。

 発言を受けての値動きは限定的だったわけですが、SNSでは「この状況で口先介入するだなんて!」といった意見も散見されました。たしかに現在の日本の金融環境はマイナス金利の維持や新NISAによる円の流出など、円安誘導と言われても仕方がない有り様。ただ、要職にある皆さんは会見でコメントを求められるので、仕方なく言うべきことを言っているだけだろうと思われます。

大人って大変だよね……。

 15日木曜日日本とイギリスのGDPが発表されたのですが、いずれも市場予想を下回るマイナスでした。2四半期連続でのマイナス成長ですので、日本もイギリスも定義上のリセッション(景気後退)に入ったことになります。夜にはアメリカの1月分の小売売上高など複数の指標が発表されました。失業保険申請件数は下振れて雇用の堅調さを示し、フィラデルフィア連銀業況指数は上振れてインフレのしつこさを示したのですが、注目の小売売上高が予想を下回ったことでドル売りが入り一時150円を割りました。ただし、1月の個人消費については悪天候の影響が大きかっただけだという分析もあり、ドル円は149円台では買いが強かった印象。一方で、ニューヨーク市場のクローズに向けてはポジション整理のような売りもあり、日本の為替介入に対する警戒感も一定程度はあるように見えました。それから、先々週から注視されてきた米地銀NYCBの赤字決算についての続報ですが、全預金の95%を預金保険でカバーできることが明らかになりました(参照:ロイター)。赤字決算のニュースを受けて銀行株を中心に株価が下落しましたが、今回の続報を受けて株価は上昇しました。

 16日金曜日米PPIが市場予想を上振れ。注目度の高いCPI(消費者物価指数)の先行指標となるPPI(生産者物価指数)が強かったことでドル円は買われましたが、日本の為替介入に対する警戒感があることとすぐ後にミシガン大指数の発表が控えていたこともあって150円60銭から上では利確が優勢。ミシガン大消費者信頼感指数は予想を下回りました。一方で1年期待インフレ率は3.0%と前回(2.9%)を上回ったのですが、週末のポジション調整の流れもあってドル売りが優勢となりました。