今週の相場|2025年6月 Vol.4|停戦合意でドル売り再燃(6/23〜27)

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前週から高値切り上げ・安値切り上げ!【今週の相場材料とチャート】

今週の高値米軍のイラン攻撃が伝わった週明け148円ちょうど付近で、これは前週の高値と比べて1円80銭ほど上でした。

今週の安値次期FRB議長早期指名の思惑でドル売りが進んだ143円70銭台で、これは前週の安値と比べて10銭ほど上でした。

 

今週の高値と安値を比べると、その差は約4円30銭でした。

停戦合意&利下げ観測で、再びドル売り機運【まるごと復習!今週の相場材料】

週足は高値切り上げ・安値切り上げとなったドル円相場を中心に、今週の相場材料を復習します。

準備体操!前週の相場

6/ 17(火)|トランプ大統領、G7を切り上げて帰国

▸ 国家安全保障会議(NSC)にシチュエーションルーム準備を指示
▸ イランに対し、週内の核協議を提案

6/18(水)|FOMCは波乱なく通過、パウエル議長は慎重姿勢を維持

▸ 金利は据え置き、ドットチャートは年内2回の利下げ見通しを維持

6/20(金)|トランプ大統領「イラン攻撃は2週間以内に判断」

▸ 即時の衝突懸念が後退し、地政学リスクは一時的に緩和

6/22(日)|米軍、イラン核施設を爆撃 (米国時間では21日土曜日)

▸ 原油価格が高騰、週明けの波乱が見込まれる
イラン議会がホルムズ海峡封鎖を承認 、国家安全保障最高評議会とハメネイ師が最終判断

24日(月) 日足:上ヒゲ陰線

有事のドル買い強まる中、ドル円は東京早朝の146円からロンドン時間にかけて148円まで急上昇。ただしNY時間には落ち着いた反応となり、146円台前半まで反落。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

週末の米軍によるイラン核施設攻撃を受け、週明けはドル買い方向に窓開け

▸ 原油高にともなうドル買い(原油はドル建てで取引されるため)

「イラン議会がホルムズ海峡閉鎖を承認」との報道には市場は冷静、極端な株安には至らず

▸実行にはイラン国家安全保障会議の決定と、対岸国オマーンの承認が必要とされ、現実味は薄いとの見方

東京都議選で自民党が過去最低議席

▸参院選をひかえるなか、政権維持のための減税・財政出動観測が強まる
▸財政悪化懸念から長期金利が上昇

 ロンドン時間 LONDON Session

前半はドル買い継続も、148円に到達すると利確に押され147円前半まで調整

ユーロ圏6月PMI速報値:総合50.2(横ばい)

▸ 製造業はやや軟調、サービス業は堅調

英PMI:製造業・サービス業ともに改善

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

ボウマンFRB副議長「7月利下げを支持」ドル売り

▸ 労働市場の減速リスクを理由に、早期の利下げを容認する姿勢

イラン、カタールの米軍基地に報復攻撃

▸ カタールの防空システムにより全弾迎撃に成功
▸ 事前にイランから通告があったとの報道もあり、過度な警戒感は後退

トランプ大統領が中東でのさらなる軍事関与に否定的と伝わり、ドル売り加速

25日(火) 日足:陰線

中東停戦報道を受けて『有事のドル買い』の巻き戻しが進行。原油は5%超下落、株高・金利低下となった。NY時間は米指標の弱さとパウエル議長の発言がドル安を後押しし、ドル円は145円台を維持できず

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

トランプ大統領SNS:「イスラエルとイランが全面的な停戦に合意」ドル売り

▸ 停戦は段階的に発効し、24時間後には公式な終結が宣言されるとの発言でリスク後退

ロイター:イランが米提案の停戦に同意と報道

▸ 一方、CNNやアラグチ外相(イラン)は否定するなど情報は錯綜

■ 米軍、イラク基地へのイランによるドローン攻撃を受け防空システムを作動

▸ 依然リスクは残るが、市場の反応は限定的

 ロンドン時間 LONDON Session

イスラエルのネタニヤフ首相、停戦合意を公式に表明

▸ 有事のドル買い巻き戻しで、ドル売りが優勢に

WTI原油先物は一時5%超下落

■ 独6月IFO企業景況感指数:88.4(予想 88.0、前回 87.5)

▸ 期待指数は2023年以来の高水準で、ユーロ下支え要因に

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

トランプ大統領が「停戦は発効している」とSNS投稿、混乱の収拾を図った

▸ イスラエルに「爆撃は中止しろ、重大な違反になる」と投稿し自制を求める
▸ 報道によれば、ネタニヤフ首相に電話し、攻撃停止を要請
▸ 40分後、イランに「イスラエル軍機は帰還した。停戦は発効している」と呼びかけ
▸ この一連の発信からは、イスラエルとイランの双方が停戦の有効性に確信を持てず、疑心暗鬼になっていた様子がうかがえる

トランプ大統領SNS:「イラン産の石油購入に二次的制裁を課さない」

▸ イランに対する態度の軟化を示した

米消費者信頼感指数:93.0(予想 99.8、前回 98.4)ドル売り

▸ 現況指数・期待指数ともに低下、関税への懸念が背景

パウエルFRB議長の下院議会証言、ややハト化ドル売り

▸ 「インフレと労働市場のデータ次第では早期利下げもあり得る」と柔軟な態度を示した
▸ 金利低下・株高・ドル売りに

イラン大統領「イスラエルが違反しない限り、停戦協定を順守する」

▸ 市場は今回の中東緊張が収束へ向かうとの見方を強めた

25日(水) 日足:上ヒゲ陽線

ドル円は日銀関連や月末フローで146円目前まで戻したが、NY時間はドル売り優勢で再び145円前半へ。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

6月日銀政策決定会合『主な意見』公表

▸ 国債買い入れ減額については「財政への配慮ではない」と強調
▸「たとえ不確実性が 高い状況にあっても、金融緩和度合いの調整を、果断に進めるべき局面もあり得る」と、タカ派な見解も

豪5月CPIは予想を下回った

▸ CPI:2.1%(予想 2.3%、前回 2.4%)
▸ CPIトリム平均:2.4%(予想 なし、前回 2.4%)
▸ 市場はRBAの年内3回利下げを織り込んでおり、豪ドルの売り反応は一時的

田村日銀審議委員が講演と会見が注目材料

▸ 講演では「不確実性が高い状況でも、果断に対応すべき場面あり得る」発言、一時円買いに
▸ 一方、午後の会見では「利上げを急ぐ状況ではない」と慎重発言も出て円は売り優勢に

ドル円は前日安値付近では買い支えられ、145円台へと反発

 ロンドン時間 LONDON Session

■ 月末・期末要因によるフローもあったか、ドル売りの巻き戻しでドル円は146円を目指す展開

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

■ ドル円は146円に乗せきれず、再びドル売りに

5月新築住宅販売件数は62.3万件で7カ月ぶりの低水準

パウエル議長の上院議会証言は、前日と同様でややハト派と受け止めドル売り

▸ 「慎重なアプローチを取りたい」としつつも、年内利下げは否定せず

トランプ大統領「来週にもイランと直接対話へ」

▸ 停戦について「再衝突の可能性がある」と懸念を示す
▸ 来週、核問題を巡りイランと直接協議する計画を明かす

26日(木) 日足:陰線

次期FRB議長の早期指名報道でハト化期待が高まり、米金利低下・ドル売り・株買いに。米経済指標も弱く、ドル円は軟調。先週の安値付近では買い支えられたが、144円半ばが重い。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

WSJ:「トランプ大統領、次期FRB議長の早期指名を検討」ドル売り株買い

▸ 9月~10月に新議長を指名する可能性
▸ 有力候補:ウォーシュ元FRB理事、ハセット国家経済会議委員長、元世銀総裁マルパス氏、ウォラーFRB理事
▸ 利下げに積極的な人物が選ばれるとの見方が広がり、ドル売りに

ベッセント財務長官「債務上限めぐる措置を7月24日まで延長」

 ロンドン時間 LONDON Session

ベイリーBOE総裁、雇用軟化への懸念示す

▸ 「賃金や雇用を通じた調整の兆しが見られる」
▸ 「食品価格の上昇を含め、インフレ動向を注意深く監視」

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

米1Q実質GDPが下方修正され、景気減速懸念を強める

▸ 確定値:前期比年率 -0.5%(速報値 -0.2% から下方修正)
▸ 個人消費:+0.5%(速報値 +1.2% から大幅に下方修正)

米失業保険申請件数、高水準を維持し労働市場の軟化を示唆

▸ 新規申請件数:23.6万人(予想 24.4万人、前週 24.6万人)
▸ 継続受給者数:197.4万人(前週比 +3.7万人、2021年11月以来の高水準)

米金利が低下し、ドル売り継続

FRB高官の発言が追加利下げ観測を後押し

▸ デイリー連銀総裁「秋にも利下げ開始の可能性。関税は必ずしも持続的なインフレ圧力に直結しない」

トランプ大統領「中国との合意に署名した」発言

▸ ラトニック商務長官によれば、「中国が米国にレアアースを供給すれば米国は『対抗措置』を撤廃する」といった文言が含まれるという

27日(金) 日足:陽線

株高やリスクオン地合いを背景にドル円は反発。米PCEはコアがやや上振れたものの想定内。米中合意報道で貿易リスクも後退したが、方向感は乏しく調整中心の展開に。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

米政権、新設を目指していた899条を撤回

▸「相互関税」とは別枠で「報復税」を課そうとしていた
▸ G7が「最低法人税から米国を除外」で合意したため撤回
▸ 市場では保護主義強化回避との見方が広がり、安心感につながった

株高が継続し、日経平均も約5カ月ぶりに4万円台を回復

イラン国営テレビ:「イランは核協議再開に合意していない」

▸ 米国側の「近く核協議が再開される」との発表を否定した形

 ロンドン時間 LONDON Session

ユーロが対ドル・円・ポンドで上昇、インフレ指標が予想上回る

▸ フランス・スペインのインフレ統計がユーロを支えた
▸ テクニカル面でもモメンタム改善

ポンドドルは上昇一服、1.40ドルに接近するも重い

▸ 短期市場で8月利下げ観測が65%まで高まり、上値は重い展開

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

PCEデフレータはコアがやや上振れも想定内、個人消費と所得はマイナス

▸総合(前年同期比): 2.3%(予想 2.3%、前回 2.1%)
▸コア(前年同期比): 2.7%(予想 2.6%、前回 2.6%)
▸ 個人消費支出:-0.1%、個人所得:-0.2% → 冷え込みを示唆

市場は月末・期末接近で新規ポジション控え、方向感乏しい展開に

週末の材料

28日(土)の相場材料

ChatGPT、NvidiaのGPUからGoogleのTPUを切り替え

▸ 週明けのエヌビディア株・グーグル株の動向に注目

トランプ大統領「今後9ヵ月は債権を発行しないよう指示した」

次期FRB議長人事をめぐる発言

▸ トランプ大統領「利下げしない候補は任命しない」

29日(日)の相場材料

トランプ政権の減税法案、米上院で最初の採決を僅差で通過

▸ イーロン・マスク氏がSNSで同法案を再び批判

今週の相場をまとめると

【ドル売り再燃、中東停戦と利下げ観測】

でした!

再び年内利下げ3回を織り込み!?【定点観測!FF金利先物】

 CMEのFedWatchツールによれば、今週、利下げ織り込みはわずかに後退しました。

 2週間前(画像1枚目)、1週間前(画像2枚目)、そして今週末(画像3枚目)のFedWatch比較してみます。

 年内の利下げ回数については、米国の関税導入による景気後退懸念から一時は年3~4回が優勢でした。その後、強い雇用統計や、パウエルFRB議長が利下げ慎重姿勢を維持していることを受けて、年内2回が優勢に。しかし、今週はトランプ大統領が次期FRB議長を早期指名するのではないかとの観測から利下げ織り込みが進んで、再び年内3回が優勢に。次回の7月会合は依然、据え置き濃厚です。

見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、この表は「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。