今週の相場|2025年7月 Vol.1|雇用統計と凪相場(6/30〜7/4)

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前週から高値切り下げ・安値切り下げ!【今週の相場材料とチャート】

今週の高値米雇用統計発表後の145.20円台で、これは前週の高値と比べて2円80銭ほど下でした。

今週の安値日銀短観の改善で円買いが進んだ火曜日の142円70付近で、前週比の安値と比べて1円10銭ほど下でした。

 

今週の高値と安値を比べると、その差は約2円50銭でした。

指標待ち→打ち上げ花火→連休入り…休むも相場!【まるごと復習!今週の相場材料】

週足は高値切り下げ・安値切り下げとなったドル円相場を中心に、今週の相場材料を復習します。

準備体操!前週の材料

6/23(月)|米軍のイラン核施設攻撃でドル円一時148円も、夜には全戻し

▸ 欧州時間まではリスクオフのドル買い、その後戦況悪化懸念が後退
▸ボウマンFRB理事の早期利下げ発言などドル売り材料も重なった

6/24(火)|イスラエル・イラン、全面的に停戦合意でドル売り加速

▸ 加えて、パウエル議長が早期利下げを否定しなかったこともドル売り材料に
▸ ドル円は、日銀会合~FOMCのサポートラインだった144円半ばでは支えられた

6/26(木)| トランプ大統領、次期FRB議長を早期に指名か

▸ 利下げに肯定的な人物を早期に指名することで、現議長のレームダック化を図る考えか
▸ 市場は利下げ時期の前倒し期待からドル売り・株買いに

6/28 (土)|トランプ大統領、来週中にも各国に関税率を通知

▸ 「すべての国との交渉は現実的でない」として、米国が一方的に通知する方針

6/29(日)|トランプ大統領、上乗せ関税の一時停止措置の延期に否定的

▸ 27日にベッセント財務長官が延長の可能性を示唆したばかりだった

6月30日(月) 日足:陰線

関税の交渉期限が迫るなか、トランプ大統領が今週中にも各国に関税率を通知する方針を口にしたことで市場は警戒感を強め、ドル売りに傾いた。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

トランプ大統領、日本の自動車に対する関税は25%を維持する方針か

▸ トランプ氏は、書簡で一方的に関税率を通知する国として日本を例に挙げた
▸ 書簡の内容ついて「親愛なる日本様、自動車関税は25%で、と書く」と冗談めかして語った
▸ 自動車貿易の不均衡についての不満を隠さず

週明けのドル円はやや下窓を開けて144円台前半でスタート

▸ ユーロドルもドル売り方向に若干の窓開け
▸ 東京時間はドル売り優勢が続き、一時143.80付近まで下落

中国の製造業PMI、3ヵ月連続で50割れ

▸ 6月製造業PMI:49.7(予想 49.7、前回 49.5)
▸ 小幅に改善したが、好不況の基準となる50を下回る

 ロンドン時間 LONDON Session

ドイツ6月CPIは市場予想に反して低下

▸ CPI前年比:2.0%(予想 2.2%、前回 2.1%)

▸ 欧州中銀の年内追加利下げ観測と整合的な内容

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

ベッセント財務長官「長期債の発行増額は不要」

▸ 「2021~22年に対応すべきだった」としつつ、「現在の米債利回を考えると増額は理にかなっていない」との見解
▸「インフレの鈍化でイールドカーブ全体が低下する」との期待も示した

トランプ大統領、日本のコメ輸入制限を批判

▸ SNSで「日本は米国産のコメを受け入れていない」と不満表明
▸ 「日本は深刻なコメ不足」と指摘し、米国産コメの受け入れを要求

ハセット国家経済会議(NEC)委員長「日本との交渉は継続」

▸「大統領が書簡を送ると述べたことは知っている」
▸ 「日本との交渉は終わっていないし、協議は最後まで続くだろう」

ホワイトハウス報道官「大統領がFRB議長に利下げを求める書簡を送った」

7月1日(火) 日足:下ヒゲ陰線

日銀短観は製造業の業況感が底堅く、東京時間は円買い優勢。ロンドン時間にかけて円買いが進行したが、NY時間では米指標が相次いで予想を上回りドルが買い戻された。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

日銀短観、製造業の業況感が2期ぶりに改善円買い

▸ 製造業・現状:13(予想 10、前回 12)
▸ トランプ関税をめぐって不透明感が残るなかでも底堅い結果
▸ 市場は円買いで反応

中国財新PMIが改善

▸ 6月製造業PMI:50.4(予想 49.3、前回 48.3)

 ロンドン時間 LONDON Session

円買いが続き、ドル円は一時143円割れ

ユーロ圏HICPは市場予想どおり伸び加速

▸HICP(前年比):2.0%(予想 2.0%、前回 1.9%)

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

JOLLTS求人件数、市場予想を上回るドル買い

▸ 5月求人件数:776.9万人(予想 710.0万人、前回 739.1万人)
▸減少予想に反して2024年11月以来の高水準になったことでドル買い反応

パウエルFRB議長、大統領からの利下げ圧力に揺るがず

▸ ECBフォーラムで「物価安定や雇用と最大化という自分の仕事に集中している」と語った
▸ 7月利下げには含みを持たせつつも、「データ次第」との慎重姿勢を維持

ISM製造業、市場予想を上回るドル買い

▸ 6月製造業総合指数:49.0(予想 48.8、前回 48.5)
▸ 基準となる50を下回る状況が続いているものの、予想以上の改善でドル買い継続

トランプ大統領、日本製品に30~35%関税を示唆

▸ 長引く貿易交渉に「合意に至るか疑わしい」と不満表明

2日(水) 日足:上ヒゲ陽線

翌日に雇用統計を控えるなか、ドル買戻しの動き。ただし、NY時間にはADPが大幅下振れでドル売りが強まった。終盤にかけて再び調整買いが入るも、144円台の維持はならず。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

ベッセント財務長官「FRBは9月までに利下げと予想」

▸ 「関税がFRBに市下げを促さないことに戸惑いを感じている」と発言

中銀トップら「ドルの地位、すぐには揺るがず」

▸ 欧州中央銀行(ECB)フォーラムでラガルドECB総裁、ベイリーBOE総裁らが発言
▸ トランプ政権の政策でドルの信認が揺らいでいることを受けて

日米豪印(クアッド)外相会合、重要鉱物供給網の多様化で協力

豪小売売上高、市場予想を下回る

▸ 豪6月小売売上高:0.2%(予想 0.4%、前回 -0.1%→0.0%に上方修正)
▸ 前回からは伸びたが市場予想ほど改善せず、豪ドルは一時売り優勢に

 ロンドン時間 LONDON Session

雇用統計前のドル買戻しが進行

▸前日のJOLTS求人件数が強かったこともあり、このところ売られていたドルに調整
▸ドル円は143円半ば→144.20台まで上昇

英スターマー首相、リーブス財務相を明確に支持せず

▸ 経緯:スターマー政権が福祉予算削減案を撤回したことで、財務相が進める財政赤字抑制が困難に
▸ 議会で首相は擁護するどころか続投についても明言を避けた
▸ 近くに座るリーブス氏がショックを受けて涙を浮かべているような表情も
▸ トラスショックを彷彿とさせる事態を受け、英国債・英株・ポンド売りに

パウエルFRB議長「トランプ関税なければ利下げしていた」

▸ ECBフォーラムでの発言
▸ ラガルドECB総裁は、パウエル氏の非政治的かつデータ重視の姿勢を称賛

英首相、トリプル安を受け「リーブス氏は今後も財務相を務めるだろう」とフォロー

▸ リーブス財務相の辞任観測が広がり、英30年債利回りが4月以来の大幅高
▸ 首相はTVインタビューで財務相辞任観測を否定した

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

ADP雇用は予想を大幅に下振れ、前回から減少ドル売り

▸ 6月民間雇用者数(前月比):-3.3万人(予想 +9.5万人、前回 +3.7万人)
▸ ドル円は143円半ばまで急落

ドル円は調整の買い戻しで急速に反発するも、144円は維持できずに反落

3日(木) 日足:大陽線

日中は雇用統計を控えた様子見ムードが強く、NY時間は強い米雇用統計でドル円が急騰。145円を突破したあとは連休前で動意薄に。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

トランプ大統領、パウエルFRB議長に再度の辞任要求

▸ 名指しは避けたが、SNSに「“遅すぎる人”、今すぐ辞任してくれ」と投稿

高田日銀審議委員「足もとは利上げいったん休止局面、様子見後に再ギアシフト」

豪貿易収支、予想を大幅に下回る

▸ 5月貿易収支:22.38億豪ドル(予想:50.00億、前回:48.59億)
▸ 輸出が非農産物の減少で-2.7%、輸入は自動車などで+3.8%増加

 ロンドン時間 LONDON Session

雇用統計を控えた持ち高調整でドル円はもみ合い

▸ 米国の3連休前でもあり、積極的な仕掛けは限定的

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

米雇用統計は市場予想を上振れドル買い

▸ 非農業部門雇用者数:14.7万人(予想 10.6万人、前回 13.9→14.4万人に上方修正)
▸ 失業率:4.1%(予想 4.3%、前回 4.2%)
▸ 平均時給(前年比):3.7%(予想 3.8%、前回 3.8%)

米ISM非製造業景況感は改善も、雇用指数は再び50割れ

▸ 5月景況指数:50.8(予想 50.8、前回 49.9)
▸ 雇用:47.2(前回50.7)と、再び50割れ

ドル円は節目の145円を突破するとストップロスを巻き込んで145.20台まで急騰

▸ ただし、その後は米国3連休を前に動意薄に

ベッセント財務長官、利下げ見通しや貿易交渉に言及

▸ 「7月利下げがなければ、9月により大きな利下げとなる可能性」
▸ 日本との貿易交渉について「参院選を控えて制約があるため、今後を見守る」とコメント

トランプ政権の減税法案(OBBB)、下院で可決

▸ 債務上限が5兆ドル引き上げられ、デフォルトの懸念はなくなる
▸ 一方、10年で3.4兆ドル規模と試算される財政悪化は関税収入を上回る
▸ 翌4日の独立記念日にトランプ大統領の署名をもって成立する見込み

4日(金) 日足:陰線

トランプ大統領が各国に10~70%の関税率を通知すると発表。週末前でもあり、前日に買われたドル円・クロス円は利確の売りに押された。夜は米国が休場ため値動きは限定的。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

トランプ大統領「関税率は本日から各国に通知」

▸ 10~70%の関税を国ごとに設定、初日は10~12ヵ国に通知
▸ 市場は警戒感を強め、ドル円・クロス円は利確売り優勢に

 ロンドン時間 LONDON Session

週末・米休場を控えた持ち高調整が続く

▸ 144円前半では底堅く、一方で144円半ばは重たい

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

米国は独立記念日で休場

▸ 債券・株式・為替市場ともにクローズ

今週の相場をまとめると

【関税で様子見、雇用統計で打ち上げ花火、そして連休へ…】

でした!

年内利下げ期待は3→2回に後退【定点観測!FF金利先物】

 CMEのFedWatchツールによれば、今週、利下げ織り込みは後退しました。

 以下の画像は上から順に、2週間前1週間前、そして今週末(画像3枚目)のFedWatchです。

 年内の利下げ回数について、今年は米国の関税導入による景気後退懸念から一時は年3~4回が優勢でした。その後、強い雇用統計や、パウエルFRB議長が利下げ慎重姿勢を維持していることを受けて、年内2回が優勢に。次回の7月会合は依然、据え置き濃厚です。

見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、この表は「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。