今週の高値は日銀の発表があった当夜の148円70銭付近。安値はその翌日の夜に付けた146円60銭台でした。大まかな流れを振り返ります。
22日月曜日は日銀会合の1日目でした。翌日に決定内容の発表を控えるなか、このところ恒例になりつつあるリーク記事に対する警戒感もあり、値動きは限定的でした。
23日火曜日。日銀の発表は12時9分頃でした。発表直前のレートは148円10~20銭。発表の中身は「金融緩和は継続、物価見通しは下方修正」ということで、基本的には円売り要因ではあるものの、すでにかなり織り込み済みの内容だったかと思います。このため、発表直後は148円50銭台まで上がりましたが利益確定の売りに押されて伸び悩みました。今回、特筆すべきは15時半からの植田総裁の会見でしたね。物価目標の実現に至る確度が高まっていることや、賃金上昇の機運が高まっていることへの言及があり、これまでと比べてマイナス金利の解除に前向きな印象を受ける会見でした。これを受けてドル円は一時的に147円を割る下落を見せました。しかし、会見の後半に「マイナス金利解除しても極めて緩和的な環境が続く」という発言が出て、今度は急激なショートカバーで全戻し状態に。「マイナス金利を解除したら次は利上げか」という安易な思惑が否定された形になり、ニューヨーク時間に入ると米債利回りの上昇も手伝って今度は先週の高値である148円80銭の更新を目指すような上昇に。結果的には10銭ほど届かず反落しました。
22日の水曜日になると、マイナス金利解除が近づいていることを匂わせた植田総裁の会見の内容が時間差で効いてきたようで日本の債券利回りが上昇。これに伴って円買いが入り、銀行株も買われました。しかし、夜にはアメリカの先行指標であるPMIが予想値から上振れし、下値も攻めきれない展開でした。
23日木曜日には日銀会合の余波も一巡し、今度はアメリカの重要な指標であるPCEデフレータや次週のFOMCを前に方向感を探る揉み合いに入った印象。次週はアメリカの大企業(GAFAM含む)の決算も集中していますね。なお、この日の日本時間の朝、FRBがBTFPを予定どおり3月11日で終了すると発表しています。これはアメリカの中央銀行であるFRBが民間銀行に低金利で資金供給を行う施策で、昨年のシリコンバレー銀行の破綻などを受けて実施していたものです。
24日金曜日も東京時間~ロンドン時間にかけては引き続き材料待ちという雰囲気で、148円台にしっかり乗せきることもできず、かといって147円の半ばを明確に割っていくこともできない神経質な展開。ちなみに、この日の午前3時が満月でした。満月の前後は月の引力で血の巡りが良くなるとのことで、悪く言えば頭に血がのぼりやすいらしいですね。こういう相場では、むきになってトレードしたくはないものです。夜には今週の注目材料だったPCEデフレータが発表され、無事に(?)鈍化が確認されました。しかし、その後の住宅関連の指標が大きく上振れ。住宅ローンの金利が低下してきたこともあって、住宅市場は堅調なようですね。
日足を確認しておきます。年明けから強く上昇してきたドル円ですが、先週金曜日は長めの上ヒゲが付いた陰線で引けていました。そのロウソク足が示唆していたとおり、今週はいったん上昇に歯止めがかかった展開となりました。1日ごとに陰線、陽線、陰線、陽線と右往左往。木曜日と金曜日は連続で陽線となりましたが、週足では今年初めての陰線で終わっています。月曜日の始値が148円20銭台だったのですが、金曜日の終値はそこからわずか10銭しか差がない148円10銭台で引けています。
終わってみれば、わずか10銭かぁ。
週足だと、ほとんど同時線とみなしていいレベルだね。
下ヒゲが長いから、トンボ同時線?
今週の週足は、短い上ヒゲ+小さな実体+長い下ヒゲ。
高値圏で出ると流れの転換を示唆するとされる、いわゆる『首〇り線』になってるかな。
『〇吊り線』なんて昭和っぽいコンプラ無視の業界用語、NGワードに引っ掛かりそうだから違う言い方が欲しいね。
上昇に対して弱気な市場参加者が増えてることを示すロウソク足のことですね。
「下ヒゲ=上昇」って思いがちだけど。
昔から株式相場でよく聞かれるアノマリー(経験則)のひとつ。新年のご祝儀相場で上がった株価が2月上旬に天井を打ち、今度は企業の決算が集中する3月下旬に向かって調整の下落に入るとされる。しかし、統計上は騰落の確率に有意な差はないことが近年、周知されてきた。
実際には正確な情報ではなくても、もっともらしい言い方をされると「そうなのか!」って思っちゃいますね。情報戦の株やFXの取り引きにおいて個人トレーダーでもそれなりに戦えるのは、誰もが自分の手で知りたい情報を(ある程度までは)調べられる時代だからこそかもしれません。インターネットがこれほど普及していない時代に、こんな格言が本に書いてあったら信じてしまいそうです。
語感が良くて頭に残りやすいんですよね~。
アメリカ時間の31日は、いよいよFOMCですね。日本時間では1日の午前4時になります。今回に関しては金利据え置きがコンセンサスですが、利下げ時期に関して何らかのメッセージが出るどうかが注目ポイント。明確なメッセージがなければ金曜日の雇用統計のほうが値動きとしては大きくなるかもしれませんね。また、今週は月末~月初のイレギュラーな値動きにも警戒が必要です。アメリカの大企業の決算が集中していることから、株価の乱高下も予想されます。方向感がハッキリしない中では、いっそう慎重なエントリーと早めの利食いを心掛けたいと思います。