今週の高値は米CPI発表後に付けた146円40銭台、安値は9日火曜日の仲値後にシンガポール勢などが中心とみられる猛烈な売りで付けた143円40銭台となりました。大まかな流れを振り返ります。
前年末の下降トレンドラインを突破して上昇に転じた前週から日本は3連休を挟み、今週はいったん下値を試す展開でスタート。しかし、火曜日の東京時間に200日移動平均線で跳ね返されると、その後は方向感を探る展開に。10日水曜日は、新年最初の本格的なゴトー日でした。ドル円は仲値前から素直に上昇を始めたわけですが、この日の上昇材料として一役買ったのは、これまで他の指標と比べるとさほど注目度が高くなかった毎月勤労統計調査かもしれません。その名のとおり、賃金や労働時間といった日本国民の労働に関するデータを毎月調査して発表している指標なのですが、これが予想を大きく下回ったことで日本の実質賃金低下が改めてスポットライトを浴びる形に。日銀の植田総裁はマイナス金利解除の条件として賃金の上昇を重視する方針を示しておられますから、少なくとも春闘を待たずしての早期解除はいっそう可能性が低くなったといえそうです。また、この日は日経平均株価が3万4000円を突破し約34年ぶりの高値を付けたことも印象的で、リスクオン的な動きもありましたね。木曜日から金曜日にかけては、アメリカの注目度の高い経済指標を控えていたこともあり、東京時間からロンドン時間の前半はレンジでの揉み合いになりました。そうして迎えたCPIやPPIでしたが、発表直後はさすがに値幅が出たものの、いずれも翌朝までには145円に吸い寄せられるような恰好に。週を通して方向感に欠ける相場でした。
これをぜ~んぶまとめて1本のロウソク足にしたものが週足になるわけですが、今週は上下にヒゲのついた陽線が形成されていますね。
こうして振り返ると、ロウソク足の形が表しているとおりの気迷い相場でした。
当たり前なのかもしれないけど、こんなに教科書どおりなんだなぁと改めて思ったというか、ロウソク足の読み解き方にもまだまだ自分には成長の余地がある気がしました!伸びしろですねぇ~。
文字が多くてすみません。いつの水準まで戻したのか確認したくて……。
まずフィボナッチ・リトレースメントですが、先週は「10銭ほど届きませんでした」と書いた半値戻しのライン(146.075円)を、木曜日のCPIで一時的に抜きました。その後はボリンジャーバンドのプラス2σにタッチして、ミドルラインへ戻されていますね。これは30年債の入札が好調だったことを受けて米債利回りが低下したことに加え、Fedウォッチャーとして知られるニック記者(@NickTimiraos)のSNS投稿も材料になったようです。投稿内容はCPIの数字の分析だったのですが、ニュアンスとしては「確かにさっきのCPIは予想値から上振れしたけど、インフレが落ち着いてきていることは間違いないよね」という感じ。それから金曜日のPPIを受けて今度は下落に転じたのですが、こちらは12月28日からの上昇トレンドラインで反発して144円90銭台で週を終えています。
相場は常に動き続けている。さらに、人によって見ている時間軸も違えば、狙っている値幅や張っているロットも違う。「他の人と相場について討論することに大きな意義はないよ!」という、先人のありがた~い格言。
方向感がハッキリしない時の格言といえば『待つも相場』というのが有名ですが、結局どっちに動くのかは当然ただ待っているだけではいつまで経っても掴めないもの。ニック記者のSNS投稿は注目度が高く、それ自体が相場を動かすパワーを持っていたりするのですが、それ以外でもコラムやSNS投稿を読んで「この人の意見ももっともだし、この人の意見も説得力があるなあ」と感じることってありますよね。
『相場について他人と論ずるべからず』というのは、「他人の意見なんか聞く価値はない!」という意味ではありません。他者の見解をたくさん耳に入れておくことと、『他人と論ずるべからず』は併存可能。耳に入れるからと言って、どれか1つを信じなければならないわけではないですもんね。いろんなピースを持っておいて、足りないピースは自分の頭と手を使って補いながら、自分だけのパズルを完成させていけばいいんだと思います。
『相場師は孤独を愛す』という格言もありますが、他の人と同じことをしていても稼げないのが相場で、いざという時には失敗を損切りという形で受け入れなければいけない。自分の頭で考えた結果の失敗なら改善のしようもありますが、他人の意見だけを根拠にエントリーしていた場合はどこをどう改善すればいいのか判断がつきません。たとえ損切りすることになっても、成長につながる損切りなら自分の資産になったとも考えられますね。
トレードはあくまでも自己責任。
常に自分の頭を使って成長しながら進んでいきたいものです。
雇用統計にCPIと大きな指標が上振れしたものの、これ以上の利上げがなかなか想定しづらい上に3月のFOMCでの利下げ観測はむしろ強まっています。FRBが重視する指標、PCEデフレータは26日に発表されるのでまだ少し時間がありますね。次週のハイライトは水曜日の米小売売上高になるでしょうか。また、日銀の動向が注目されている時期ですから、金曜日に発表される日本のCPIもある程度の動きにつながるかもしれませんね。方向感が分かりにくい時だからこそ、『相場について他人と論ずるべからず』。自分のトレードに集中し、かつ視野を広く持って冷静に相場と向き合っていきたいと思います。