【復習】2024-09-16⇒2024-09-20【相場材料とチャート】

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ざっくり振り返る 今週の相場材料とチャート

今週の高値金曜日のニューヨーク時間に付けた144円50銭付近で、これは前週の高値と比べて70銭ほど上でした。

今週の安値月曜日のロンドン時間に付けた139円60銭付近で、これは前週の安値と比べて70銭ほど下でした。

 

今週の高値と安値を比べると、その差は約4円90銭でした。

しっかり振り返る 今週の相場の流れと材料

日々の相場の流れを振り返り、今週の相場材料を復習します。

15日(日) 週末のできごと

・日経新聞が、19日の決定会合では利上げが先送りされる公算と報じた。(参照:日経

16日(月) 日足:下影陰線

今年初めて年足陰線の状態で迎えた週明けは、早朝にトランプ氏が再び銃撃されたニュースが流れたが市場の反応は限定的。日本と中国がそれぞれ祝日で休場のなか、午前中は140円半ばで下げ渋ったドル円は午後に入って下げ幅を拡大。前週に更新したばかりの年初来安値を再更新。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間(休場) TOKYO Sesssion

・日本時間の朝、トランプ前大統領が再び暗殺未遂にあったとの報道。トランプ氏にけがはなく、銃を持った犯人は拘束された。

・FedWatchでは50bps利下げ織り込みが50%を超え、25bpsの利下げ織り込みを上回る。

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

・NY連銀景況指数が +11.5 と、前回値の -4.7 から大幅に上昇。予想値も -4 だったため、サプライズ感から一時ドル買いが強まる場面も。(ただし、その後はドルストレートの通貨ペアは上昇しており他通貨に対して米ドルは売られている。この夜のドル円上昇は円売り主導によるもの。)

・FedWatchでは50bps利下げ織り込みが60%を超える。

17日(火) 日足:陽線

各国の政策金利発表ラッシュを前に様子見ムードが続くなか、米小売売上高が市場予想に反して上振れ。日経新聞の「日銀、利上げ先送り」報道以降は円買いの手仕舞いが進んでいることもあってドル円・クロス円は陽線を付けた。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

・米上院議員3人がパウエルFRB議長に書簡で「75bps利下げを含む積極的な金利引き下げ」を要求したと報じられる。(参照:Bloomberg)市場の反応は限定的。

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

・米小売売上高が市場予想を上振れ。

18日(水) 日足:下影陰線

FRBは大幅利下げを決定。コロナ禍以降では初めてとなる利下げだが、市場はかなり織り込み済みだったとみられる。パウエル議長の「あくまでも予防的利下げ」との発言がタカ派と受け止められて、会見以降はドルの買い戻しが優勢に。

時間帯ごとの相場材料

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

FRBは50bpsの大幅利下げを決定。また、ドットチャートの中央値によると年内の追加利下げは合わせて50bpsが見込まれる。

パウエル議長の会見からは、今回の利下げが雇用の急激な鈍化を懸念した予防的な利下げだったことがうかがわれた。「今後も大幅利下げが既定路線というわけではない」との発言もあり市場はドル買いで反応。

・株価は利下げを好感し、S&Pは一時5700ドル付近まで吹き上げて史上最高値を更新

19日(木) 日足:上影陽線

前夜はパウエル議長の利下げを急がない姿勢がドル買いを誘ったが、一夜明けて利下げが再評価されたかリスクオン展開で株が上昇。英中銀は市場の予想どおり金利を据え置いた。

時間帯ごとの相場材料

 ロンドン時間 LONDON Session

英中銀(BOE)は政策金利を据え置き

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

・前日に決定された大幅利下げを好感し、株価が上昇。S&P500は8月の下落時から600ドル近く高い5742ドル台を付けて、史上最高値を更新した。

20日(金) 日足:下影陽線

日銀は金利の据え置きを決定。年内の追加利上げに対してコメントを避けた総裁会見を受けて円売りが強まった。米国経済のソフトランディング期待が高まり米株は続伸。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

日本の消費者物価指数(CPI)は4ヵ月連続で伸び率が拡大。

日銀は政策金利を据え置き。発表直後の反応は限定的。

 ロンドン時間 LONDON Session

植田総裁の会見は、「データがオントラック(見通しどおり)なら少しずつ利上げしていくという考えに変わりはない」「年内の追加利上げは、データ次第」と、これまでどおりの発言に終始。年内の利下げについて繰り返し質問が出るも具体的な表現を避け続けたことがハト派と判断され、会見中から円売りが強まった。

今週の相場をまとめると

【日米ともにトップの発言が市場の期待を裏切った?】

でした!

あわてんぼうの
カエルさん
あわてんぼうの カエルさん

このところボラティリティの高い相場が続いてるけど、今週はまた特にすごかったね。

かしこそうな
シカさん
かしこそうな シカさん

FOMC後の最安値から半日も経たずに3円半も上げて、そこから今度は2円下げた。

資金を減らさなかっただけで自分を褒めていい相場だと思うよ。

あわてんぼうの
カエルさん
あわてんぼうの カエルさん

ぼくは減らしたけど、生き残ってるだけで偉い!

アメリカは大幅利下げに踏み切ったのにあそこまでドル買いが進むなんて……。

かしこそうな
シカさん
かしこそうな シカさん

パウエルFRB議長の発言は「今回は思い切って50bps利下げしたけど、このままどんどん下げるってことじゃないからね」っていう内容だったよね。

今回の50bps利下げは事前の報道でかなり織り込み済みだっただけに、この先の展開のほうに注目が集まっていたんだ。

あわてんぼうの
カエルさん
あわてんぼうの カエルさん

とはいえ、結果的に株価は上がってるし、FRBは市場とうまくコミュニケーションを取ってるといえるのかも。

一方、日銀の声明や会見では将来的な利上げの道筋についてヒントが示されず、強い円売りを誘った。

会見では植田総裁の「追加利上げはデータ次第」発言に対して、記者から「7月会合の時点でも同じことをおっしゃったが、その時と比べて確度は変わっているか」という質問が出たよね。

でも、総裁は「データ次第」と繰り返すだけだった。

これは明らかに回答を避けてるなあって思ったよ。

かしこそうな
シカさん
かしこそうな シカさん

前回7月末の会合では総裁会見後にドル円と株価が暴落した。

あのあと植田総裁は閉会中審査に呼ばれ、説明を求められたよね。

「説明」というか、状況としては「釈明」だったかな。

それも、よりによってジャクソンホール会議という経済界の大イベント欠席してまで……。

そのあたりの経緯も踏まえて、今回合では確定的なことを言わないようにしたのかもしれないね。

特に、来週には自民党の総裁選も控えているから。

アメリカの政策金利 織り込み定点観測

 CMEのFedWatchツールで、利下げ織り込み度を確認します。

 先週末(下の画像1枚目)と今週末(画像3枚目)のFedWatchを比較すると、年内の利下げ織り込みは前進しています。今回のFOMCでは年内にあと50bpsの利下げが示唆されましたが、市場は11月と12月の会合のうち少なくとも片方では50bpsの利下げが行われて年内に合わせて75bpsの利下げを織り込んでいます。

見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、これは「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。

次週に向けて

 今週はFRB・BOE・日銀と、主要な中央銀行による政策金利の発表が続きました。来週はまずこの材料を消化するところからスタートですね。米国の利下げについては市場が年内に75bpsの追加利上げを見込むなか、FRBは50bpsの利下げを示唆しており慎重な姿勢がうかがわれます。今回合では雇用の悪化を懸念して予防的な大幅利下げに踏み切っており、新たに出る雇用のデータがFRBの次なる一手を大きく左右しそうです。

 来週の米国の相場材料として注目度が高いのはPCEデフレータ。FRBがインフレ目標の対象指標としている重要なデータです。こちらは27日金曜日に発表されます。その前日、26日木曜日には新規失業保険申請件数と四半期GDP確報値、さらに耐久財受注の発表も控えています。特に新規失業保険申請件数について、これは毎週木曜日に発表される指標ではありますが、前述のとおりFRBが労働市場の鈍化を気にしているというなかで出るデータですので大きな反応が予想されます。週前半は、こうした指標の発表を見据えながら、ブラックアウト期間明けの要人発言にも注意していくことになります。

 さて、PCEデフレータが発表される27日金曜日ですが、この日は自民党総裁選の投開票がおこなわれる日でもあります。総裁選討論会で政策金利について具体的に言及した候補は、利上げ反対を表明した高市氏くらいです。仮に高市氏が当選した場合はやはり円安に振れやすくなるでしょう。一方、総裁選に絡んだ討論会等での発言ではないものの、日銀の7月会合前に利上げ催促発言をしていた河野氏や茂木氏が当選すれば特に海外市場で利上げ期待が高まりそうです。また、金融所得増税を口にした石破氏が当選した場合も株式市場・為替市場で相応のボラティリティを誘う可能性があります。

 もっとも、ボラティリティについては8月からずっと高い状況が続いているため、総裁選の結果に関わらず大きなポジション整理の流れに巻き込まれないように気を付けたいところ。ファンダメンタルズの転換点を迎えるなかで指標や要人発言にいっそう注目が集まってはいますが、忘れてはいけないのは9月末というのがすなわち四半期末であること。日本では半期末でもあります。週前半は材料待ちのなか、需給による変動に振り回されないよう十分な注意が必要です。