【復習】2024-04-08⇒2024-04-12【相場材料とチャート】

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ざっくり振り返る 最近の相場材料

まずは各国の状況について、箇条書きでざっくり確認します。今週の出来事にはNEWマークを付けています。

アメリカ

・3月に発表されたPCEデフレータ⇒コアデフレータ(前年同月比)の伸びが鈍化。NY含む主要な市場が休場だったこともあり、反応は限定的。

NEW 今週発表された消費者物価指数(CPI)⇒市場予想を上振れ。市場はドル買いで反応し、ドル円は152円の防衛ラインを突破。

NEW 今週発表された生産者物価指数(PPI)⇒市場予想を下振れ。市場は一時的にドル売りで反応

・4月に発表されたISM製造業は市場予想を上振れ、基準となる50を上回り市場はドル買いで反応非製造業は市場予想下振れで、市場はドル売りで反応

雇用関連のデータ⇒4月に発表された雇用統計JOLTSADPは、いずれも市場予想を上振れ。移民の増加が影響しているとの指摘。市場はドル買いで反応

日本

NEW 米CPIを受けて34年ぶりの円安水準

NEW 中東情勢の緊迫化を受けてリスクオフの円買い。

NEW 鈴木財務相が「来週のG20でドル高について議論がある可能性」に言及しており、G20後に為替介入の観測も。

・3月末に財務省・金融庁・日銀の3者会合が開かれ、次のステップであるレートチェックはいつ実施されてもおかしくない状況。

・日銀の植田総裁が朝日新聞のインタビューに応じ、年内追加利上げの可能性を示唆。

しっかり振り返る 今週の相場動向

今週の高値はCPIとPPIを通過した金曜日の153円30銭台、安値は週の始値である151円53銭でした。

Sunday 7日日曜日は、イスラエル軍がガザ南部の中心都市であるハンユニスから地上部隊の大半を撤退させました。前週は「イランがイスラエルを攻撃する見込み」と報じられるなどして緊迫感が増していた中東情勢ですが、これによりリスク回避ムードが緩んでいます。

Monday 8日月曜日は中東情勢の緊張感が緩和したことを受け、前週末にみられたリスクオフの円買いが一服。ドル円は再び152円を目指して上昇しましたが、米ドルもリスクオンムードで売られており151円後半で膠着状態となりました。

この日、買われたのはオセアニア通貨です。日本株を含むアジア株が上昇基調にあることでオセアニア通貨はこのところ堅調。前週はリスクオフで売られているので、その分の買戻しが入っています。それから、10日水曜日に政策金利の発表を控えるニュージーランドシャドーボード(有識者会議)が金利据え置きを勧告しました。ニュージーランドのシャドーボードは、市場が利上げを予想していた前回会合でも据え置きを勧告して市場が強く反応しています。(参照:【復習】2024-02-26⇒2024-03-01

アメリカは最近の強いインフレ指標を受けて利下げ織り込みが引き続き後退しています。ニューヨーク市場がオープンするまでに米10年債利回りは4.46%台まで上昇し、今年の最高水準を更新。

夜はシカゴ連銀のグールズビー総裁とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言が報じられました。なお、両名ともFRBメンバーですが投票権はありません。

グールズビー総裁
グールズビー総裁

2023年の経済は非常に順調だったと認識している。

FRBは、いわゆる「最後の貸し手」としての役割をしっかり果たした。

多くの人が経済に不満をいただいていることは否めず、実際のデータと消費者のムードには隔たりがある。

カシュカリ総裁
カシュカリ総裁

インフレ率は依然3%前後だ。

目標とする2%に戻らないうちに、引き締め政策をやめるべきではない。

労働市場は1年前ほどの過熱感はないが、まだまだタイトだ。

暗号通貨は単なるオモチャだ。

日常生活で使用されておらず、価値の保全も不安定。

インフレに対するヘッジとしては機能しない。

Tuesday 9日火曜日は翌日にアメリカの注目指標である消費者物価指数(CPI)を控え、ドル円は小動きで推移。日銀の植田総裁が国会で発言していますが、こちらも市場の反応は限定的でした。

植田総裁
植田総裁

今年の春闘は、しっかりとした賃上げが実現する。

3月の会合で賃金と物価の好循環を確認した。

2%物価目標の持続的・安定的実現が見通せる状況に至ったと判断。

大規模金融緩和の枠組み・マイナス金利は役割果たした。

当面、緩和的な金融環境が持続すると考えている。

現時点の経済見通しであれば当面短期金利00.1%が適当

Wednesday 10日水曜日は米CPIを夜に控え、日中は基本的には様子見ムード。ただし、日銀の植田総裁の発言を受けてやや円買いになる場面もありました。

植田総裁
植田総裁

基調的な物価は、現時点では2%に届いていない。

徐々に2%に収束する見通しを待っている。

2%を大きく超えれば急激な利上げが必要になる可能性もある。

ニュージーランドの政策金利は、シャドーボードの勧告どおり据え置きとなっています。市場はニュージーランドの声明をタカ派と受け止め、ややオセアニア通貨買いで反応でしています。

RBNZの声明

生産能力への圧力とインフレをさらに軽減をするために、引き続き制限的な金融政策スタンスが必要

政策金利を一定期間にわたって制限的な水準に維持することで、インフレ率を1~3%の目標範囲内に戻すことができる。

注目の米CPIは、前年比も前月比も市場予想を上振れました。コアCPIも同様に上振れる強い結果を受けて、ドル円は初動で152円の半ばまで吹き上がっています。その後も戻りは弱く、3時間ほどかけて153円の手前まで上昇。その後、米10年債の入札が不調だったことで再びドル買いムードが高まったところで、日本の為替介入を意識した利確と損切りが交錯したか、一瞬で20~30銭ほど急落しています。それでも買いが強く、夜通し高値圏での揉みあいが続いたあと、明け方にとうとう153円のノックアウトオプションを引っ掛け、損切を巻き込んで153円20銭台の高値を付けました。

Thursday 11日木曜日は、前日の米CPIを受けてドル円は上値を試す展開。2022年から死守してきた152円の防衛ラインを突破された日本当局からはけん制発言も出ていますが市場の反応は薄く、為替レートにはほとんど影響していません。

神田財務官
神田財務官

ひと晩で1円という動きが、過度な変動か申し上げない。

特定の水準を念頭に判断するわけではないが、過度な為替変動は国民経済に影響する。

行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず適切な対応をとる。

この日、開催されたECB会合では政策金利の据え置きが発表されました。声明の内容は、おおむね以下のような内容。

ECBの声明

食料品や商品の価格低下により、インフレ率は低下し続けている。

ECBの主要金利は進行中のディスインフレプロセスに大きく貢献。

今後の決定において、必要な期間に渡り、政策金利が十分に制限的な水準に設定される。

インフレのターゲット収束が持続的になるとの確信が今後の評価でさらに高まれば、現行の金融引き締め度合いを緩和することが適切

市場はこれを利下げへの転換を示唆するハト派な内容と受け止め、ユーロ売り・ドル買いで反応。

続いて、アメリカの生産者物価指数(PPI)新規失業保険申請件数が発表されています。PPIについては前月比が0.2%(予想0.3%、前回0.6%)、前年比が2.1%(予想2.2%、前回1.6%)と、いずれも市場予想を下回ったため、発表直後はドル売りが出ています。ただ、前週に出たCPIなどの強いインフレデータに対する警戒感は強く、ドル円は153円を下回るとしっかり買い支えられる展開。米債利回りも上昇しており、2年債の利回りが一時5%に達しています。

日付が変わってから米30年債の入札結果が出ていますが、こちらも不調で米債利回りは高止まり。ドル円も底堅く推移し、153円30銭付近の高値圏で取引を終えています。

Friday 12日金曜日のドル円も朝のうちは引き続き上値を試す展開で推移。しかし、鈴木財務大臣から従前よりも具体的なけん制発言が出たことでドル円・クロス円は上値が重くなりました(参照:Bloomberg)。

鈴木財務相
鈴木財務相

G20でドル高が議題になる可能性がある。

以前にもそうしたいわゆるキャピタルフライト(資本逃避)について議論になった。

来週、開催されるG20(金融世界経済に関する首脳会合)でドル高について議論するかも、という発言。

これを受けて、G20後に為替介入を行うのではという観測も出ています。

それでも153円20~30銭を維持していたドル円が下落基調に変わったのは19時半以降。この時点では「真偽不明」とされながらも、一部で「24時間以内にイランがイスラエルに対する攻撃を開始する」という情報が流れていたようです。また、イギリス外務省が在イスラエル英国人に即時退避を要請しており、きな臭いムードがじわじわと円買いを加速させました。

大手メディアでヘッドラインが流れたのは21時半頃。「イランがイスラエルに対する報復として、早ければ24時間以内にも攻撃を開始する」という内容で、一部メディアによると「100機以上のドローンや、数十のミサイルを用いた大規模攻撃になる可能性がある」とのこと。イスラエル軍の報道官は「準備はできている」と声明を出しています。

ドル円は152円の半ばまで落ちたあとはドル買いに支えられて反発。結局、今週は153円20銭台で引けています。

一方、クロス円はリスクオフのドル買い・円買いに押されて大きく下落してます。朝164円半ばだったユーロ円は一時162円前半まで落ちたあと163円台になんとか戻ってきましたが、朝192円台半ばだったポンド円は一時190円を割り込んだあとは191円に戻り切れずに引けを迎えました。朝100円台の大台に乗っていた豪ドル円は一時98円70銭台を付けたあと、大きな反発はみられないながらもこの水準の底堅さを感じさせる動きで99円台にかろうじて戻して引けています。

ちなみに、この夜はカンザスシティ連銀のシュミット総裁がタカ発言をしています(参照:ロイター)。

シュミット総裁
シュミット総裁

FRBの積極的な利上げにもかかわらず、インフレ率はいまだ2%を上回っており、労働市場は依然としてタイト。

現状では制約的な金融政策を維持することが適切

FRBの保有資産が金利押し下げ要因になっているため、バランスシートの大幅な縮小を望む。

Saturday 本日13日土曜日は、引き続き中東情勢の緊迫化を伝えるヘッドラインが流れています。日本時間の朝8時前にはイスラエル防衛のためアメリカの軍艦が出動したと報じられました(参照:Yahoo)。

次週に向けて

次週の注目材料とチャートの分析はこちらの記事で。最後までお読みいただき、ありがとうございました!