【復習】2024-04-01⇒2024-04-05【相場材料とチャート】

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ざっくり振り返る 最近の相場材料

まずは各国の状況について、箇条書きでざっくり確認します。今週の出来事にはNEWマークを付けています。

アメリカ

・3月に発表されたPCEデフレータ⇒コアデフレータ(前年同月比)の伸びが鈍化。NY含む主要な市場が休場だったこともあり、反応は限定的。

・3月に発表されたCPIPPI⇒2月発表分に続いて堅調。市場はドル買いで反応

NEW 4月に発表されたISM製造業は市場予想を上振れ、基準となる50を上回り市場はドル買いで反応非製造業は市場予想下振れで、市場はドル売りで反応

NEW 雇用関連のデータ⇒4月に発表された雇用統計JOLTSADPは、いずれも市場予想を上振れ。移民の増加が影響しているとの指摘。市場はドル買いで反応

日本

・3月27日水曜日に財務省・金融庁・日銀の3者会合が行われ、次のステップとなるレートチェック・実弾介入に対する警戒感が続いている。

NEW 日銀短観⇒製造業の業況判断DIは4期ぶりに鈍化するも、製造業の設備投資額はバブル期以来の伸び

NEW 日銀の植田総裁が朝日新聞のインタビューに応じ、年内追加利上げの可能性を示唆。

しっかり振り返る 今週の相場動向

今週の高値はADP民間部門雇用者数の発表後に付けた151円95銭。安値は中東情勢の緊迫化による円買いで付けた150円80銭台でした。それでは、今週の相場を動かした材料を時系列に沿ってしっかり振り返ってまいりましょう。

Monday 1日月曜日。東京市場は年度初めかつ週初め、欧州と英国はイースターの4連休最終日NY市場はイースターの連休明けという日でした。

東京市場開場前に日銀短観が発表されています。大企業の製造業の業況判断DI(中心値)が11ポイントと、前回結果の13を下回り、4期ぶりに鈍化しました。一方で、大企業の製造業の設備投資額は前年度比8.5%増と、バブル期の1989年以来の高い伸び率を見込んでいます。

ちなみに、大企業製造業の業況判断DIは、予想では10ポイントに悪化するとされていました。

つまり今回の結果は市場予想ほどは悪化しておらず、ネガティブサプライズではなかったわけですね。

悪化の原因としては大手自動車メーカーの工場停止が大きかったようです。

今年度最初の仲値のドル需要はそれなりにあったようで、仲値にかけてはドル円は上昇しています。しかし、その後は欧州・英国の休場もあって、方向感の欠けた動きになりました。

ニューヨーク時間にはISM製造業が発表され、結果が市場予想を上振れたことでドル買いになっています。前回結果が47.8、今回は市場予想が48.4でしたが結果は50.3でした。基準となる50も上回る強い伸びを示したことで警戒感から債券利回りが上昇し、ドルが買われました。

Tuesday 2日火曜日は欧州と英国もイースター休暇が明け、いよいよ4月の相場が本格的にスタートという日でした。しかし、重要指標や要人発言を控え動きの鈍い1日となっています。

夜にはアメリカの製造業新規受注が発表されました。結果は1.4%と、市場予想の1.0%を上回っています。前回結果はマイナス3.8%でしたが、今回は想定を上回る堅調さを示しました。

JOLTS求人件数については結果が875.6万人と、市場予想の874万人から大きなズレはなく、無難に通過した印象。ただ、数字としては前回(874.8万人)に続いて堅調さを維持しています。

Wednesday 3日水曜日は前日の堅調な米経済指標を受けて、ドル円は底堅い値動きとなりました。

ADP民間雇用部門雇用者数の結果が市場予想を上振れると、年初来高値更新を目指して上昇。先週の高値である151円97銭まであと数銭に迫ったタイミングでISM非製造業が発表され、総合指数が市場予想を下振れたためドル円はなんとか151円台を維持した格好になりました。

あわや152円というタイミングで発表されて高値更新を防いだISM非製造業の結果には、日本の通貨当局関係者が一番ほっとしたかもしれませんね。

その後にパウエルFRB議長のハト発言もあり、ドル円の上値追いは一服しています。

パウエルFRB議長
パウエルFRB議長

最近の雇用とインフレの指標は予想を上回っている。

しかし、金融政策の全体像を大きく変えるものではない

このところ米経済指標は強い数字が多く、市場関係者の間では「年内の利下げ回数が減るのでは」あるいは「利下げ開始時期が遅れるのでは」という懸念が広がっているのですが、パウエル議長がこれを否定した格好となり、売られていた株がやや買い戻されています。

Thursday 4日木曜日は翌日に雇用統計を控えており、ドル円はニューヨーク市場がオープンするまでは小幅な値動きにとどまっています。しかし、ニューヨーク時間は情報量の多い夜となりました。

まず、要人発言が複数ありましたが、市場の反応が大きかったのはミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言でした。

カシュカリ総裁
カシュカリ総裁

私は3月の時点では、年内に2回の利下げを想定していた。

しかし、1月と2月のインフレの数字は気がかりだ。

インフレが横ばいで推移し続けるなら、年内に利下げを実施する必要があるのかどうか疑問が生じる

この発言を受けて株が売られ、ドルが買われています。

その後、中東情勢について「イランが48時間以内にイスラエルを攻撃する」と報じられ、ドル円とクロス円が急落しています。

イランがイスラエルを攻撃する名分について。

今月1日、シリアの首都にあるイラン大使館の敷地内に空爆が行われたという事実があり、イラン側はこれを「イスラエルによる攻撃」と断定し報復を宣言したという経緯があります。

また、バイデン大統領はこの日、これまで支援してきたイスラエルに対し「ガザ地区で人道支援を行っていたスタッフ(米国人を含む)を巻き込んだ空爆は容認できない」として、政策を見直す可能性を示唆しています。

あわてんぼうの
カエルさん
あわてんぼうの カエルさん

ゴールドが下落したからドル買いかと思ったけど、ドル円は下落してる。

リスクオフの円買いってこと?

かしこそうな
シカさん
かしこそうな シカさん

仮に第5次中東戦争となった場合、アメリカは現状ではイスラエルの同盟国であり無関係ではいられない。

リスク回避という意味においては、基本的には米債買い・円買い要因といわれているね。

多くの人が株などのハイリスク資産を手放して、比較的リスクの低い資産に換えようとする。

低リスクな資産としてよく挙げられるのは主要国の国債や通貨だね。

実際、リスクオン通貨とみなされがちな豪ドルは、この日のロンドン時間に100円台の年初来高値を更新したばかりでしたが、カシュカリ総裁の発言によるドル買いもあって深夜以降は一転して売り優勢になっています。

かしこそうな
シカさん
かしこそうな シカさん

それから、こと中東の情勢不安定ということになれば、経済的には原油の供給が大問題だ。

原油価格が上昇し続ける状況になればドル買い要因になり、円は相対的に安くなる可能性がある。

ただし、原油の価格が上がるということは輸入物価が高騰するということで、日本においてもインフレ圧力になるよね。

日本の物価が上がりすぎれば日銀は早期の利上げに踏み切ることになるから、これは円買い要因になり得る。

また、この日の深夜には、朝日新聞による植田総裁への単独インタビュー記事が発信されています。(参照:利上げ判断、夏から秋にも 植田日銀総裁「物価目標の確度高まれば」:朝日新聞デジタル (asahi.com)

植田総裁
植田総裁

夏から秋にかけて春闘の結果が物価にも反映されていく中で、目標達成の可能性が高まっていく。

(賃金と物価の好循環が実現する確度について)数字は例えだが、今回は75%になったからマイナス金利を解除したとする。

これが80%、85%になっていくなら、金利を動かす理由のひとつになる。

(為替の動向について)賃金と物価の循環に無視できない影響を与えそうなら、為替も利上げ材料になり得る

朝日新聞の記事がどこまで意識されたかは不明ですが、中東情勢の緊迫化を受けてドル円は151円10銭台の日通し安値を付けました。それでも151円は堅く、ニューヨーク市場がクローズするまでには少し買戻しが入って151円30銭台で引けています。

Friday 5日金曜日のドル円は、前日の急落を受けて下落基調でスタート。11営業日ぶりに151円を割り込みましたが、150円80銭の抵抗線で買い支えられています。雇用統計の発表までには151円台に戻っていますが、この時点では151円半ばが重たい印象でした。

21時半に発表された3月分の雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)30.3万人と、市場予想の20.0万人を大きく上回っています。また、平均時給は前年同月比で4.1%の伸びと、市場予想どおり。平均時給はこれまでに、1月分が4.5%、2月分が4.3%と、順調に落ち着いてきています。NFPの数字はインパクトがあり初動はドル買いが強かったのですが、ニューヨーク市場のクローズにかけては平均時給の伸びの鈍化が好感されて株やゴールドの買戻しが出ました。ドル円も初動で151円75銭付近の日通し高値を付けた後は上値を追いきれず、前日の高値を更新することなく引けています。

非農業部門雇用者数(NFP)の強さについて。

ゴールドマンの事前予想では「不法移民の増加によって、今回の雇用統計は強い数字になる」とされていました。

雇用数は増加する一方、平均時給は下降トレンド。

そして、その原因が不法移民とは……。

次週に向けて

次週の注目材料とチャートの分析はこちらの記事で。最後までお読みいただき、ありがとうございました!