Weekend Pip&Tip|2025年8月 Vol.1|雇用統計まさかの大幅修正(7/28~8/1)

今週の為替相場をまるごと復習!
今週も、日ごとの相場まとめ「Daily Acorn – 日刊どんぐり」をお届けしてきました。
試運転中のシリーズですが、細かい相場材料はそちらをチェック📝
そしてこちらの記事では、1週間の相場をサクッと復習✨
その名も「Weekend Pip&Tip」です!(こちらもお試し版)
この記事はで読むことができます。


今週の高値:150円90銭付近(前週比 +2円30銭)
今週の安値:147円30銭台(前週比 +1円40銭)
今週の値幅:約3円60銭(前週 +80円)
FOMCと日銀会合を通過し、ドル円は約4ヵ月ぶりに150円乗せ。
どこまで円安が進むのか……と思った翌日に、雇用統計でまさかの大幅下方修正。
金曜日の日足は、今週の上昇をまるごと打ち消す大陰線となりました。
週足は高値・安値ともに切り上げたものの、なが~い上ヒゲを付けた陰線で着地しています。

・大きな値動きにつながった材料
・今後の相場にも影響しそうな材料
をダイジェスト版でピックアップ!
より細かい材料や、詳しいデータは月~土のランチタイムにお届けしている「Daily Acorn – 日刊どんぐり」で!
7月28日(月)|日足:陽線
■ 米・EUが15%関税で合意
▸ 未明に米EU合意が伝わり、週明けの為替はユーロ・豪ドル買い方向に窓を開けてスタート
▸ ただ、FOMC・日銀を控えて上値を追いづらく、調整ムードも
▸ ユーロ円は窓開け後に174円トライも不発 → 反落
■ 米EU合意に対し、欧州ではネガティブな反応も
▸ 「欧州は最悪の事態は回避したが、出口のない不均衡で危険な協定」との指摘
▸ ユーロ売り・ドル買いに傾いた
29日(火)|日足:コマ足 陰線
■ イベント前で方向感は出ず
▸ 欧州時間には一時ユーロ売り・ドル買いが優勢になった
■ 米指標の結果は強弱まちまち
▸ JOLTS求人件数は下振れたが、消費者信頼感指数は予想を上回る改善
30日(水)|日足:下ヒゲ陽線
■ カムチャツカ半島で巨大地震発生
▸ 日本やハワイの太平洋沿岸部に津波警報が発令された
▸ 急速にドル売り・円買いが進んだ(月末フローも影響か)
■ 米指標の上振れでドル買い、ドル円は149円台へ
▸ ADP雇用統計、GDP速報値が強い数字
■ FOMCは事前報道どおり2名が利下げを主張しての金利据え置き決定
パウエル議長は慎重姿勢を維持(詳細を表示)
▸利下げを主張したのはトランプ大統領が1期目に任命したボウマン理事とウォラー理事
▸パウエル議長の会見での発言:
―「関税で一部の財価格が押し上げられている」
―「経済は、金利が不適切に抑制しているような動きではない」
―「9月FOMCについては何も決定していない」(9月利下げ観測をけん制)
▸ 市場は議長会見をタカ派と受け止めドル買いへ
▸ ドル円は149円半ばまで上昇し、高値圏でNYクローズを迎えた
31日(木)|日足:大陽線
■ 日銀会合は、植田総裁の会見でドル買い・円売り再燃
会見では利上げに慎重な姿勢がみられた(詳細を表示)
▸植田総裁の発言:
―「米中の関税合意は大きな前進」
―「供給サイドの要因で物価が上昇している時に利上げすると、景気を冷やして所得を減らし、食料品への支出を減らして価格を下げることになる。それが望ましいかどうか」
―「食品インフレはやがて落ち着く」
―「為替水準、問題ない」
▸ ドル円は4月2日以来の150円台へ
■ PCEデフレータは……
市場予想を上回る加速(詳細を表示)
▸総合(前月比):0.3%(予想 0.3%、前回 0.1%)
▸総合(前年比):2.6%(予想 2.5%、前回 2.3%)
▸コア(前月比):0.3%(予想 0.3%、前回 0.2%)
▸コア(前年比):2.8%(予想 2.7%、前回 2.7%)
▸ ドル円は150円を明確に抜けると、150.80付近まで急伸
8月1日(金)|日足:大陽線
■ 米7月雇用統計は……
下振れ&過去分が大幅に下方修正(詳細を表示)
▸非農業部門雇用者数(前月比):7.3万人(予想 10.8万人、前回 14.7万人→1.4万人に下方修正)
※さらに、前々回分も14.4万人→1.9万人に下方修正
▸失業率:4.2%(予想 4.2%、前回 4.1%)
▸平均時給(前月比):0.3%(予想 0.3%、前回 0.2%)
▸平均時給(前年比):3.9%(予想 3.7%、前回 3.7%→3.8%に上方修正)
▸ 文字どおり「桁違い」の修正に、ドル円は150円半ばから一気に148円割れへ
▸ 「9月会合で一気に50bps利下げ」、「緊急FOMC会合開催」といった可能性も浮上
▸ 株式市場も「早期利下げ期待」を通り越し、リスクオフ相場に
■ クグラーFRB理事、1月の任期満了を待たず退任を表明
▸ クグラー氏は今回のFOMCで金利据え置きに票を投じた1人
▸ 理事の席が空くことで、トランプ大統領は新たに利下げ積極派の人物を任命できる

「週後半にビッグイベントを控えて、忍耐が試される週前半」から、「FOMCの日に地震・津波で予想外の値動き」、そして「雇用統計で過去分がまさかの大幅下方修正」……なかなか難しい週だったね。

前回6月分が14.7万人→1.4万人、前々回5月分も14.4万人→1.9万人と、合わせて26万人近い下方修正。
これはさすがに予想できない。
今週のチャートを改めて振り返ると、「様子見でちっとも動かない前半→怒涛の乱高下となった後半」という流れのなかで、無事に1週間を乗り切っただけで偉いと言っていい相場だなぁと思うよ。

今週の相場をまとめると
【忍耐と瞬発力が同時に試される、試練の週】
でした!
CMEのFedWatchツールによれば、今週、利下げ織り込みは大きく前進しました。
以下の画像は上から順に、2週間前、1週間前、そして今週末(画像3枚目)のFedWatchです。
年内の利下げ回数について、今年は米国の関税導入による景気後退懸念から一時は年3~4回が優勢でした。その後、強い雇用統計や、パウエルFRB議長が利下げ慎重姿勢を維持していることを受けて、年内2回が優勢に。ところが、今週発表された雇用統計は予想を下振れただけでなく過去発表分にも大幅な下方修正が。これを受けて、市場は再び年内3回の利下げを織り込み始めており、次回9月会合では利下げが濃厚となってきました。

この表は、「いつのFOMCで」「どの政策金利水準が」「どれくらいの確率で織り込まれているか」が分かるツール。
縦軸=会合のタイミング、横軸=金利水準を示します。




今週は「FOMC+日銀+雇用統計」と濃密な一週間でしたね。
来週もISM非製造業など注目される指標はありますが、なんといってもバカンスシーズン。
大イベントを通過したあとなので、いよいよ本格的に市場が薄くなる可能性も頭に入れて、無理なポジションは持たないのが吉。
4日(月)
23:00|米|製造業新規受注
23:00|米|耐久財受注
5日(火)
21:30|米|貿易収支
23:00|米|ISM非製造業景気指数
6日(水)
08:30|日|毎月勤労統計
7日(木)
21:30|米|新規失業保険申請件数
8日(金)
08:30|日|全世帯家計調査
08:50|日|国際収支(経常収支、貿易収支)