【復習】2024-09-09⇒2024-09-13【相場材料とチャート】
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今週の高値は月曜日のロンドン時間に付けた143円80銭付近で、これは前週の高値と比べて3円40銭ほど下でした。
今週の安値は金曜日のニューヨーク時間に付けた140円30銭付近で、これは前週の安値と比べて1円50銭ほど下でした。
今週の高値と安値を比べると、その差は約3円50銭でした。
前週にJOLTS・ADP・雇用統計がそれぞれ下振れて米国の雇用の鈍化を示唆。週を通してドル売り・円買いが優勢だった。これを受けた今週の月曜日はショートカバーが大きく出た。
東京時間 TOKYO Sesssion
・日本のGDPは下振れ。この日の円売り材料となった。
・日本の経常収支は7月としては過去最大の黒字を計上。
・中国のCPIとPPIは、いずれも下振れ。
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・前週は一時50%まで高まった9月のFOMCでの50bps利下げ織り込みが20%程度に低下。一方で、年内の利下げ幅については拡大。
アメリカ時間では当日夜、日本時間では翌朝に米大統領選テレビ討論会を控えるなか、リスクオフの動き。
東京時間 TOKYO Session
・中国の貿易統計では、輸入が市場予想を大きく下振れ。オセアニア通貨が下落した。
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・石油輸出国機構(OPEC)は、今年の石油需要見通しを下方修正。米国と中国の見通しが引き下げられた。
・現地時間の夜(日本時間11日AM10時)にトランプ氏とハリス氏による初の直接対決が予定されていることと、翌日に米CPIの発表を控えていることからリスクオフの株売り・円買いが進んだ。
米大統領選テレビ討論会と中川委員の発言が重なり円買いが加速。ドル円は「ブラックマンデー越え」が話題になった8月5日の安値も割り込み、今年の最安値(1月2日の140円80銭台)を10銭ほど更新した。
東京時間 TOKYO Session
・米大統領選討論会は、リベラル系のABCテレビで開催されたことで終始ハリス氏に有利な番組進行となり、放送後の評価はハリス氏の勝利との見方が優勢。市場は株売り・仮想通貨売り・円買いが進行するリスクオフの反応を示した。(参照:BBC)
・日銀の田村審議委員が経済イベントで挨拶。発言がタカ派とみなされて円買い材料になった。注目された発言は「現在の実質金利が極めて低い水準にある」「経済・物価見通しが実現していけば、金融緩和の度合いを調整していくことになる」など。(参照:日経)
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・8月の消費者物価指数(CPI)は、伸び率が5カ月連続で縮小した。ただし、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが拡大したため初動はドル買い・株売りで反応した。
ドル円は前日に大きく下げたぶんショートが捕まっていたとみられ、東京時間は下がりにくい地合いが続いた。ECBは市場予想どおり利下げしたが、年内の追加利下げ観測が後退したことでユーロドルが買われた。米PPIは一部の数字が予想を上振れたがドル売りの流れは変わらず、ニック記者による観測記事が出たこともあり、ドル円は142円を割ったところでNYクローズを迎えた。
東京時間 TOKYO Session
・日銀の田村審議委員が岡山市で講演。発言がタカ派とみなされて円買い材料になった。注目された発言は「政策金利を少なくとも1%程度まで段階的に引き上げる必要がある」など。(参照:日経)
ロンドン時間 LONDON Session
・ECB会合がおこなわれ、政策金利の引き下げが発表された。ただし、ラガルド総裁の会見で年内の追加利上げ観測が後退したため、ユーロドルは買われた。関係者によれば「、景気が悪化するなら10月利下げも辞さないが、メインシナリオは12月利下げ」とのこと。(参照:Bloomberg)
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・米生産者物価指数(PPI)の総合値はほぼ市場どおり。前月比が市場予想を上振れたが、ドル売りの流れは変わらず。
・注目度の高いWSJのニック記者(@NickTimiraos)が、9月FOMCでの利下げ幅に関する記事を公表。パウエル議長のアドバイザーを務めたこともあるファウスト氏の話として、「利下げ幅が25bpsになるか50bpsになるかは微妙なところ」「大幅な利下げをする場合でも、きちんと配慮した声明文を出せば投資家を恐怖させずに済む」などとした。また、「今後数ヵ月でどのくらい利下げしていくかは、初回の利下げ幅よりも重要な問題」とも。これを受けて市場では利下げ織り込みが進んだ。
ニック記者の記事の影響で、50bps利下げ観測が再燃。ドル円は再び年初来安値を更新し、今年初めて年足が陰線の状態でNYクローズを迎えることになった。
東京時間 TOKYO Session
・世界通貨基金(IMF)の報道官がアメリカの金融政策について「物価上昇リスクは緩和した」として、利下げサイクルの開始が適切との考えを示した。
・ダドリー元NY連銀総裁が、9月FOMCでの50bps利下げについて「根拠は十分にある」と語った。
・自民党総裁選に立候補している高市氏が、総裁候補討論会で経済政策について問われ「金融緩和は我慢して続け、低金利を維持すべき」と発言。各紙が『追加利上げ反対』との見出しで報じている。(参照:日経)
今週の相場をまとめると
【米国の利下げ幅をめぐって右往左往】
でした!
いよいよ来週18日水曜日(日本時間では19日木曜日の午前3時)に迫った米国の政策金利発表。
利下げ開始は既定路線だけど、問題は利下げ幅だね。
ここまでの流れを振り返ると……
・8月に発表された雇用統計が弱かったことで、50bpsの利下げ織り込みが急速に進んだ
・しかし、8月後半からここまで、PCEデフレータや個人支出の上振れ、それから失業率の低下といった米国経済の堅調さを示すデータが確認されて50bpsの利下げ観測は後退
……という感じだったよね。
今週はFOMCを翌週に控え、FRB要人が金融政策に関する発言を控えるブラックアウト期間に入っていた。
このブラックアウト期間中に注目されるのがパウエル議長のメッセンジャーとされるWSJのニック・ティミラオス記者の投稿なんだけど、彼が「50bps利下げもあり得る」と発信したんだ。
利下げ幅がどちらになるかは、今回は本当に微妙なところです。
FedWatchでも現在、25bps利下げの織り込みが45%、50bps利下げの織り込みが55%と拮抗しています。
また、今後の利下げペースについてどのような示唆があるかにも注目です。
どういう決定が下されても市場の反応は大きくなりそうだね……。
FOMC明けの19・20日におこなわれる日銀会合は、FOMCの決定内容や市場の反応を加味して政策やメッセージを調整できる。
逆に言えば、繊細な調整が求められる事態になる可能性があって、市場の混乱を招かないような声明文や総裁会見にするために会合は難航するかもしれないね。
CMEのFedWatchツールで、利下げ織り込み度を確認します。
先週末(下の画像1枚目)と今週末(画像2枚目)のFedWatchを比較すると、9月会合での利下げ織り込みは前進しています。見込まれている利下げ幅は25bpsと50bpsで45%対55%と拮抗。また、その後の利下げ織り込みも数%ずつ前進しています。
見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、これは「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。
17・18日はいよいよFOMCです。利下げ幅についてはアナリスト間でも見解が割れており、結果を受けて大きなボラティリティが発生することは必至。日銀会合も当然、見逃せません。
ただし、焦りは禁物です。まず、16日月曜日は日本が敬老の日で休場。中国も中秋節で、こちらは17日まで休場。ボラティリティが高い相場が続くなか、市場が薄いところで無理な勝負を仕掛けるのは危険です。それから、17日火曜日はアメリカの小売売上高が発表されます。利下げ幅について何らかのヒントを欲しがっている市場が過敏に反応する可能性があります。同じことが、20日金曜日の朝に発表される日本の全国CPIにも言えます。日銀の政策金利発表を前に、何らかの口実を見つけてストップを狩りに行く強引なトレードが発生しかねません。