今週の相場|2025年6月 Vol.3|関税協議は後回し?中東リスクとドル買い(6/16〜20)
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今週の高値は週末・四半期末に向けてポジション調整が進んだ金曜日の146円20銭台で、これは前週の高値と比べて70銭ほど上でした。
今週の安値は中東リスクに楽観的な見方が広がった月曜日の143円60銭台で、これは前週の安値と比べて90銭ほど上でした。
今週の高値と安値を比べると、その差は約2円60銭でした。

週足は高値切り上げ・安値切り上げとなったドル円相場を中心に、今週の相場材料を復習します。
6/ 9(月)|米中閣僚がロンドンで協議
― 前回の「ジュネーブ合意」を履行する方向で一致し、決定的対立は回避
― 米側は「実りある協議」と前向きに評価したが、具体的進展に乏しくリスクオンは限定的
6/11(水)|トランプ大統領「イランとの核交渉に自信が持てない」
6/13(金)|イスラエル、イランの軍事関連施設を攻撃
― イラン革命防衛隊の司令官が死亡、中東リスクが一気に顕在化し、市場に緊張感が走る
6/14(土)|イスラエルとイラン、互いのエネルギー施設を攻撃
― 原油価格の高騰リスクと、週明けのリスク回避ムードが強く意識される状況に
東京時間 TOKYO Session
・週明けのドル円は有事のドル買いで144円70銭台まで上昇
― 中東での報復応酬(イスラエル・イラン間のエネルギー施設攻撃)を受け、原油価格上昇
・米複数メディア:「トランプ大統領がイスラエルによるハメネイ師の殺害計画を却下」
― アメリカが情勢を抑制するとの観測からリスク回避姿勢がやや後退
― 下落していた株価指数先物も下げ止まる
・トランプ大統領SNS:「今こそ合意の時」「米国はスラエルを支持し続ける」
・日銀の国債買い入れ減額報道が意識され、円売り優勢
・イラン外交官が匿名で「ウラン濃縮の放棄に前向き」と語った
― ただし「体面を保つ出口戦略が必要」と発言
ロンドン時間 LONDON Session
・リスク回避の巻き戻しで調整的なドル売りが優勢に
― 欧州株、米株先物が反発、原油や金も上昇一服
― 中東情勢の進展自体は乏しいが、イランの原油施設被害が限定的との見方が支えに
・ユーロはECB当局者の発言で堅調
― デギンドス副総裁「ユーロドル1.15でもインフレ目標達成に支障ない」
・イスラエル、イラン国営テレビ局を爆撃
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・ドル円は下押しから切り返す展開、一時143円半ばまで下落後、145円手前まで上昇
― イランが停戦交渉再開に前向きとの報道でリスク回避後退
― ホルムズ海峡の封鎖は未実施、原油輸出施設の被害も限定的で原油価格下落
・6月NY連銀製造業景況指数が、市場の改善予想に反して大幅低下
― 製造業景況指数:-16.0(予想 -5.0、前月 -9.2)
東京時間 TOKYO Session
・トランプ大統領「中東訪問も検討」「イランに核兵器を持たせたくない」
・日米首脳会談は、関税問題で合意に至らず
・加藤財務相「為替協議の日程、具体的には決まっていない」
・トランプ大統領SNS:「今すぐ全員テヘランから退避せよ」
― ホワイトハウス公式リポスト、市場は緊張感を強める
・中国も自国民に対し、イスラエル・イランからの退避を指示
・トランプ大統領、G7から急遽ワシントンDCに戻ると発表
― また、国家安全保障会議(NSC)に対しシチュエーションルームで準備を整えるよう指示
・トランプ政権がイランに対し、今週中の核協議を提案
・報道:ホルムズ海峡付近で石油タンカー3隻が炎上
・日銀政策決定会合:金利据え置き(予想どおり)
― 2026年4月からの国債買い入れ減額(4000億→2000億)
― 発表前に織り込まれていたため、事実売りでドル円は一時反落
・報道:米商務省、中国との通商協議を前に中国向けの技術制限拡大を検討
・トランプ大統領「ワシントンDCに戻るのは『停戦』より大きな目的のためだ」
ロンドン時間 LONDON Session
・イスラエル軍、イラン軍司令官を殺害
― 最初の空爆で前司令官が死亡したあとを受けて4日前に就任したばかりの人物
・トランプ大統領「日本との合意は可能だが、相手はタフ」
・欧州経済指標:ドイツZEW景況感指数が予想を上回る
― 「ECBの利下げや独政府の財政政策が効果を発揮する可能性」との見方が浮上
― ユーロ買い・ポンド売りの構図
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・ドル買いが再び優勢に
― ドル円は145円台を回復、オプション絡みの上値抵抗もこなす展開
・米5月小売売上高は今年4回目のマイナス
― 前月比:-0.9% (予想 -0.5%、前回 +0.1% → -0.1%に下方修正)
― 一時ドル売りに傾くも、リスク回避のドル買いが再燃
・原油価格が再び急伸
― 米軍参戦の可能性が意識され、有事のドル買い
―トランプ大統領がNSCと緊急会議、イランに「無条件降伏を要求」
― 「ハメネイ師がどこにいるか完全に把握している」とも発言
・一部報道:「ハメネイ師がロシア亡命を準備か」
・亡命中のイラン元皇太子(故パーレピ国王の息子)がイラン国民に体制離反を呼かけた
東京時間 TOKYO Session
・ドル円は一時145円半ばまで上昇後、調整売りで失速
― 前日海外市場の流れを引き継いでドル買いが先行するも、午後にかけて144円台へ反落
― 株・原油先物も一時反発したが、明確な方向感は出ず
・米国、銀行の資本規制の一部緩和を検討
― 財務取引への制限を緩和する方向で、リスク選好を支える動
・豪財務相、税制改革を検討する方針を表明
― 豪ドルは一時的に買われた
ロンドン時間 LONDON Sess
・英CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回る
― 前年比:+3.4%(予想 +3.3%、前回 +3.5%)
・ハメネイ師「押し付けられた戦争に断固として立ち向かう」
― 「イランが降伏するような国ではないと米国は理解すべき」と強調
・IAEA「イランの原子力施設が甚大な被害を受けたもよう」
― 一時的にリスクオフが強まるも、FOMCを控えて全体的には動意薄
・ドル円は145円台に乗せきれず、144円80付近の揉み合いに
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・トランプ大統領「イランから接触があった」
― ただし「1週間前とは状況が違う」「対話には遅すぎる」と強硬姿勢
・FOMC:政策金利は市場予想どおり据え置き
― ドット・プロットでは年内2回の利下げ予想が維持される(市場は1回への修正を想定していたためサプライズ)
・パウエル議長会見要旨:
― 「インフレには依然として上振れリスクあり」
― 「特に関税がインフレに与える影響は長引く可能性がある」
― 「労働市場は安定、だが供給も減っており、需給はバランスしている」
・会見を受けてドルが買い戻され、ドル円は145円台を回復
東京時間 TOKYO Session
・ドル円は一時144円70銭台まで下落後、買い戻しで145円台回復
― 報道:米国が数日以内にイランへの軍事行動を取る可能性
― 午後には「イスラエルのミサイルがイランの核施設に着弾」との報道でリスク警戒感再燃
・豪5月雇用統計は市場予想を下振れ
― 豪ドル売りが一時的に優勢となる
・クロス円は東京時間では方向感に欠ける展開
― ユーロ円も166円割れまで下落した後、持ち直しの動き
― ドルストレートはドル高優勢
ロンドン時間 LONDON Session
・ドル円は145円台後半まで上昇、円売り優勢
― ポジション調整主導の円売りとの見方
― 四半期末を控えたフローや米祝日での流動性低下も後押し
・スイス中銀(SNB)は政策金利を0.25%引き下げ
― 一部ではマイナス金利復活の観測もあったため、タカ派との受け止めでフラン買いに
・英中銀(BOE)は予想通り政策金利を据え置き(5.25%)
― 投票結果:据え置き6、利下げ3(市場は2名利下げを予想していたため、ややハト派に傾いた印象)
― 一時的にポンド売りも、買い戻される展開に
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・ジューンティーンス(奴隷解放記念日)のためNY市場は休場
東京時間 TOKYO Session
・トランプ大統領「イラン攻撃について2週間以内に判断する」
― 即時の軍事衝突懸念が後退し、リスク回避ムードがやや和らぐ
・日本5月全国CPIは市場予想を上振れた
― CPIコア:3.7%(予想 3.6%、前回 3.5%)と、6ヵ月連続で3%乗せ
・日銀5月政策決定会合議事要旨が発表される
―多くの委員が通商政策の不確実性を指摘
・ドル売り・円買い先行も限定的、145円台を維持して切り返し
・株式市場はまちまち
― 日本株・豪州株は軟調、香港株は買い優勢
ロンドン時間 LONDON Session
・クロス円中心に円売りが優勢
― 地政学リスクの後退と週末前の持ち高調整が重なり、円売りの動き
・英小売売上高が予想を下回る
― 一時的にポンド売りとなるも、その後買い戻される展開
ニューヨーク時間 NEW YORK Session
・ドル買い再燃、ドル円は146円台まで上昇し、週間高値を更新
・FRBの半期金融政策報告が議会に提出される
― 報告書「インフレの見通しは依然として不確実性が高い」との文言がドル買い材料に
・デイリー総裁(サンフランシスコ連銀)、7月利下げに慎重な姿勢
・ウォラーFRB理事「早ければ7月にも利下げすべき」
― ウォラー氏はトランプ政権1期目に任命された経緯
― 次期FRB議長の有力候補とも報じられており「大統領の意向を反映した発言」との見方も
・イラン高官「濃縮ゼロは受け入れない」と発言
― 一方で、制限協議についての余地はあるとし、対話の可能性も残る
・トランプ大統領、再びパウエルFRB議長を批判
― SNSで議長を「愚か者(numbskull)」と罵倒
― 「金利を1~2%引き下げれば米国は年間最大1兆ドルを節約できる」と主張
・米軍、イランの核施設を攻撃
― トランプ大統領がSNSで「イラン核施設3ヵ所を爆撃。すべての米軍機が無事にイラン領空を離脱」と発表(米国時間21日20時頃)
― サンデーダウが急落、原油価格が急騰
・報道:イラン、中東の米軍基地に報復攻撃を準備

今週の相場をまとめると
【G7関税合意の期待はどこへやら…中東リスクのドル買い続く】
でした!
CMEのFedWatchツールによれば、今週、利下げ織り込みはわずかに後退しました。
2週間前(画像1枚目)、1週間前(画像2枚目)、そして今週末(画像3枚目)のFedWatch比較してみます。
年内の利下げ回数については、米国の関税導入による景気後退懸念やトランプ政権による圧力から、一時は年3~4回が優勢でした。しかし、パウエルFRB議長が利下げ慎重姿勢を維持していることもあり、現在は年内2回が優勢。次回の7月会合は据え置き濃厚となっています。

見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、この表は「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。


