【復習】2024-04-22⇒2024-04-26【相場材料とチャート】

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しっかり振り返る 今週の相場動向

今週の高値は金曜日のクローズ直前に付けて158円40銭台。安値は月曜日のオープン直後の154円40銭台でした。1週間で4円も円安に……。今週の為替動向を時系列に沿ってしっかり振り返っていきましょう。

Sunday 21日日曜日の深夜、イランの最高指導者であるハメネイ師の発言が報じられています(参照:日経)。ハメネイ師は、今月13日に実施したイスラエルへの報復攻撃に関して「国家と軍の意思を国際舞台に示した」と発言。日本時間19日未明にはイスラエルからとみられるイランへの攻撃がありましたが、これに対する報復には言及しませんでした。

Monday 22日月曜日は、イラン側の抑制的な発言がリスクオフムードをやや緩和させたか、オセアニア通貨新興国通といった比較的リスクの高い通貨が買い戻されてスタートしています。イスラエル側はアメリカに対してさらなる武器の供与を要求するなど好戦的な態度を崩していませんが、29日まで『過ぎ越しの祭り』というユダヤ教の祝日が続くこともあって、すぐに大きな動きにはなりそうにない雰囲気。

この日は大きな経済指標の発表はありませんでした。ニューヨーク市場ではややリスクオンに傾いて株の買い戻しも入っています。

Tuesday 23日火曜日、ドル円は155円まであと15銭ほどの高値圏でスタート。これを受けて鈴木財務相から強めのけん制発言がありました。

鈴木財務相
鈴木財務相

G7で為替を含む過去のコミットメントを再確認した。

為替市場の動向は、日米韓などの枠組みで緊密に意思疎通している。

環境が整ったと捉えられてもいい

東京時間のあいだは、けん制発言の効果もあってかドル円は前日の高値を超えることなく推移。前日から好調な豪ドル円は何度か100円の大台に乗っては押し戻される展開。ユーロ円、ポンド円も上値は重く推移しています。

しかし、ロンドン時間からは欧州やイギリスのPMIが堅調な結果を示したことや、リスクオフムードの緩和で株の買戻しが始まったことを背景にドルが売られた結果、クロス円上昇

ニューヨーク時間にはアメリカのPMI速報値が発表されていますが、市場予想を下振れ。さらに、2年債の入札が好調だったことで米債利回りが低下してドル売りが加速しています。この夜、相対的にもっとも買われたのはポンドでした。豪ドルも強い上昇をみせ、大台の100円にしっかり乗せきって引けています。

Wednesday 24日水曜日は、オーストラリアのCPIが発表されています。前期比・前年同月比・前年同期比がそろって市場予想を上回る強い結果で、豪ドルは強く上昇。対円では2014年以来となる101円の高値を付けています。

その後は前日に売られている米ドルに買戻しが入るなか、特に買う理由がない円はじりじりと売られる展開に。ドル円は、アメリカの経済指標の発表も待たずに節目とされていた155円を突破しています。

米耐久財受注は市場予想をわずかに上回っています。前回発表分には下方修正が入っていますが、そのぶん伸び方が大きくなった形となったためインフレの再加速が懸念される結果に。ドル円はこの日155円40銭近くまで吹き上がりました。

Thursday 25日木曜日。巨大なバリアオプションが設定されているという噂だった155円を突破して迎えたゴトー日は、週前半の上値の重さが軽減されて円売りが加速。

ニューヨーク時間には注目の米GDP速報値新規失業保険申請件数といった注目度の高い指標が発表されています。GDPは市場予想を下回っていますが、失業保険申請件数が減少したことで雇用の強さが再確認されて米長期金利が上昇。

ドルが強く上昇したことで、ドル円は介入警戒から一時的に円買いが発生しています。このため、ドル円は乱高下したもののわずか数pipsの高値更新にとどまり、クロス円は大きな押し目を作って朝までには値を戻す展開になりました。

また、アメリカのイエレン財務長官が為替介入に関してネガティブな発言をしたことで、介入警戒がやや緩んだことも円売りを助けた印象。

イエレン財務長官
イエレン財務長官

介入は極めてまれで例外的であるべき

Friday 22日金曜日は日銀の政策金利発表に先駆けて東京CPIが発表されています。こちらは市場予想の2.2%を大きく下回る1.6%という結果。こちらは高校無償化の影響もあったとのこと(参照:Bloomberg)。

注目の日銀会合ですが、政策金利は市場予想どおり据え置き。ただ、一部では円安を止めるためにサプライズ利上げがあるのではないかという期待もあったとされており、失望感から円売りが加速。植田総裁の会見も待たずに156円を軽々と突破しています。

この「失望感」について。

植田総裁は先週、G20後の会見で「円安が基調的な物価に無視できない影響を与える場合には、金融政策で対応する可能性がある」と発言しています。

そのため今回の会合において、利上げとまではいかなくとも、声明にはタカ派っぽい文言が入るのではという期待感が高まっていました。

それなのに明確なメッセージが含まれていなかったので、結果的に「市場の期待を裏切った」感が強くなってしまったかもしれません。

植田総裁の会見は為替動向に関する質疑応答が多かったのですが、ここでもタカ的な発言はほとんどなく、円安容認と受け止められても仕方のない内容でした。

植田総裁
植田総裁

(円安が進んでいることについて)基調的物価に大きな影響は与えているということではないと判断

(追加利上げ時期について)2024年のインフレ率に為替相場の影響が出て、25年の春闘に影響が出るということになれば物価に影響する。仮にそういう状況になったら、追加利上げは次の春闘まで待たずに判断し得る。

会見中も円売りは続き、16時台には157円まであと20銭ということろまで迫っています。

17時ちょうどにドル円が急落しています。一時155円も割り込んでおり、丸々2円近く下落しているわけですが特に大きなニュースはありませんでした。これまでにも高値更新中に為替介入を思わせる急落が発生したことはあります。しかし、ここまでの値幅はなかったため、「今回こそは介入か」とSNSでもザワついたのですが……結果的にはレートチェックのニュースすら(本日27日時点では)出ていません。ドル円もクロス円も1時間ほどで値を戻しています。

ニューヨーク勢が参戦してくるとドル円は157円を突破。夜通し157円台でじりじりと高値を更新し続けましたが、市場クローズ間近になって急騰し158円30銭台で引けています。クローズが近づくにつれて我慢していたショート勢が投げざるをえなくなり、とうとう158円のストップを付けて吹き上がったような展開でした。

次週に向けて

次週の注目材料とチャートの分析はこちらの記事で。最後までお読みいただき、ありがとうございました!