【復習】2024-08-19 ⇒ 2024-08-23【相場材料とチャート】
この記事はで読むことができます。
今週の高値は月曜日の東京市場オープン前に付けた148円付近で、これは前週の高値と比べて1円40銭ほど下でした。
今週の安値はパウエルFRB議長がジャクソンホール会議で利下げを示唆したあとに付けた144円付近で、これは前週の安値と比べて2円ほど下でした。
今週の高値と安値を比べると、その差は約4円でした。
月曜日 一部メディアで、米労働統計局が21日水曜日に雇用統計の下方修正を発表する予定と報じられる。修正対象は2023年4月~2024年3月の雇用統計で、修正幅は最大マイナス100万人になるとの情報を受け、ドル売り。
月曜日 セブン&アイ・ホールディングスにカナダのコンビニ大手から買収の提案があったと報じられる。5兆円規模の買収が実現するとなれば為替介入に匹敵する規模の円買いが発生するとの思惑から、円買いが強まった。
水曜日 雇用統計の年次基準改定により、2023年4月~2024年3月分の非農業部門雇用者数(NFP)にマイナス81.8万人の大幅な下方修正が入った。事前に「最大マイナス100万人」と報じられていたため数字は市場が想定していた範囲内であり、発表直後はドルの買い戻しが出る。その後はドル売り優勢で推移。
木曜日 米PMI速報値は、非製造業(サービス業)が市場予想と前回結果のいずれも上回る強さ。非製造業は予想を下回った。
木曜日 新規失業保険申請件数はほぼ市場予想どおりの数字で、雇用の底堅さを示した。
金曜日 日銀の植田総裁が閉会中審査に出席。午前中は衆議院、午後は参議院の財政金融委員会で答弁。午前中は「金融緩和の度合いを調整していく基本的な姿勢に変わりはない」とし、今後も利上げを継続する方針を示したことから市場は円買いで反応。一方、午後は内田副総裁の発言(「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」)について問われ、植田総裁は「金融政策の考え方は、内田副総裁とのあいだに違いはない」と答弁。今度は円売りで反応。
金曜日 パウエルFRB議長がジャクソンホール会議で「調整する時が来た。方向性は明確だ」と発言し、利下げ開始を示唆。利下げペースについては「データ次第」と無難な発言に終始したものの、ドルは売られた。
今週の相場は、
【週を通してドル売り・円買い基調でありながら、ジャクソンホール会議という一大イベントを通過するまでは節目の145円を割り切れなかった感じ】
でした!
8月は円買いと株売りが注目テーマだったけど、今週に関しては株は売られていないね。
日経平均株価は、月曜日こそセブン&アイ・ホールディングスの買収提案報道で下落したものの、火曜日以降は4日連続で日足陽線となっているね。
日経平均株価の今週の終値は3万8300円台でした。
フィボナッチ・リトレースメントを見ると61.8%の線より上で引けていますね。
また、一目均衡表では転換線が基準線を上回りました。
アメリカ株はもっと顕著に回復しているね。
S&P500の一目均衡表を見てみますと、先週末に価格が雲を上抜け、今週前半には転換線が基準線を上回っています。
木曜日は非製造業PMI速報値が上振れたほか、翌日にパウエル議長の発言を控えていることもあって調整の下落も見られましたが、それでも雲の上限に支えられて反発。
金曜日にはパウエル議長の利下げ示唆を受けて、遅行スパンがロウソク足の実体を上抜けしています。
これで三役好転が成りました。
9月17・18日のFOMCまで、まだ3週間以上あるよね。
利下げ開始を待たずに高値を更新していくかも……?
CMEのFedWatchツールで、利下げ織り込み度を確認します。
先週末(下の画像1枚目)と今週末(1枚目)のFedWatchを比較すると、利下げ織り込みはさほど変化していません。9月会合での25bps利下げ織り込みは75%→76%と微増。その代わり50bpsの利下げ織り込みが25%→24%と微減しており、市場のコンセンサスは25bpsの利下げで固まりつつあります。
見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、これは「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。
パウエルFRB議長の利下げ開始示唆発言を受け、来週はほかのFRB理事の発言にもいっそう注目が集まりそうです。
来週の円の相場材料ですが、まずは30日金曜日に発表される8月分の東京消費者物価指数(CPI)が挙げられます。今週発表された7月分の日本全国CPIは前年比プラス2.0%で、伸び率が3ヵ月連続で鈍化しています。しかし8月には、皆さまもご承知のとおり、米の買い占めとそれにともなう価格高騰が発生しています。また、同日に日本の雇用統計と鉱工業生産の速報値も発表されます。この東京CPIや雇用統計が発表される30日金曜日は月内最終営業日でもあり、仲値前後までの値動きには注意が必要でしょう。
続いて来週のドルの相場材料ですが、目玉はやはりPCEデフレータでしょう。FRBが最重要視する指標といわれています。現状、やや上昇するとの予想が優勢となっているようです。すでに9月の利下げ幅は25bpsがコンセンサスとなりつつあるので、このデータで見通しが大きく変わることはなさそうです。……ということは、逆に市場予想に反して下降した場合は、再び50bps利下げ論が浮上して相場が乱高下する可能性があります。
8月のドル円相場はここまでの高値が150円90銭付近、安値が141円70銭付近と、7月に続いてかなり値幅が出ています。月末に向けてポジション調整の動きが出ることも想定しつつ、安全に立ち回っていきたいところです。