【復習】2024-07-01⇒2024-07-05【相場材料とチャート】
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今週の高値は水曜日のロンドン時間に付けた161円90銭台、
今週の安値は金曜日の雇用統計発表時に乱高下して付けた160円30銭台でした。
・6月30日日曜日に行われたフランス議会選挙の第1回投票は、ル・ペン氏の率いる右派の国民連合が勝利。本日7月7日日曜日に決選投票。
・日銀短観は大企業製造業の景況感が市場予想を上回るなど「ぼちぼち」な結果だったものの、同時に発表された四半期GDP改定値に下方修正があったため円売り。
・米ISM製造業景況指数は48.5と市場予想を下振れ、好不況の基準である50を3カ月連続で下回る。米ドルは一時的に売られるが、あっという間に買い戻される底堅さ。
・パウエルFRB議長が「FRBはインフレ抑制をよく進めてきた」と発言し、株買いを誘った。一方で、早期利下げには慎重姿勢を示す。
・米ISM非製造業景況指数は48.8と、前回の53.8から大きく失速。
・イギリスの総選挙は左派の労働党が圧勝し、政権交代。新首相は人権派弁護士のキア・スターマー氏。新財務相はイングランド銀行(BOE)で日本の「失われた10年」を研究したという経歴を持つレイチェル・リーブス氏。
・米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が20.6万人と市場予想(19.0万人)を上振れた一方で、サプライズ的強さだった前回結果が大幅に下方修正(27.2万人→21.8万人)。失業率(前回4.0%、予想4.0%)は4.1%と悪化したことから、市場は乱高下ののちドル売り優勢となって週を終えた。
なかなか見るべきところの多い1週間でした。
フランスとイギリスの選挙は、どっちも政権交代したってこと?
まず、イギリスについては総選挙が終わって政権交代が確定していますね。
新イギリス首相となったスターマーさんが5日金曜日に組閣人事を発表し、財務長官にはBOEでエコノミストを務めたこともあるリーブスさんが任命されました。
次に、フランスの議会選挙だけど、こちらは『第1回投票』というものが終わっただけ。
ちょうど今日、7月7日に『決選投票』が行われるんだ。
今のところ、第1回投票を制した国民連合がこのまま第1党になる可能性が高いとされているね。
でも、選挙結果をもってただちに政権を発足できるのは議席の過半数を獲得した場合なんだ。
国民連合は今回、この「議席の過半数」に届かないと予想されている。
というのも、第1回投票で2番手につけた左派政党の連合と3番手の現与党が協力して、多くの選挙区で候補を1本化したんだ。
ちなみに、第1党の議席が過半数に満たない状況をハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)と呼ぶよ。
もしハング・パーラメントになった場合は、この「過半数に満たない第1党」が他の党に協力を求めて政権の樹立を目指すんだけど、第1党の首相指名を他の党に拒否されたら事態が紛糾することになる。
場合によっては、そのまま解散して総選挙をやり直す可能性も無くはないという、不安定な状況が続くことになるんだ。
それって、ユーロにとっては売り要因?
必ずしもそうではないでしょう。
実際、今回の場合は「極右政党とも評される国民連合が圧勝しそう」という事前の情勢がすでにユーロの上値を重くしていたという経緯があります。
このため、「過半数を得られない可能性がある」というニュースが伝わったことで、安堵感から今週のユーロは買い戻し優勢となっています。
もっとも、アメリカの指標が下振れたことによる米ドル売りもユーロを支えた要因でしたね。
CMEのFedWatchツールで、利下げ織り込み度を確認します。
今月のFOMC直後と月末現在で比較すると、利下げ織り込みはやや前進しています。1つめの画像が先月末のFedWatch、2つめの画像が本日のFedWatchです。先月末時点では9月会合での利下げ織り込みは57.9%でしたが、ISM製造業・非製造業の下振れや強弱入り混じった雇用統計を経て72.0%に上昇しています。
見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、これは「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。
次週の目玉イベントは、11日木曜日に発表される米消費者物価指数(CPI)と、12日金曜日に発表される米生産者物価指数(PPI)です。いずれも前回は市場予想を下ぶれて早期利下げ期待を高めました。今回、CPIはさらに伸びが鈍化すると予想されています。PPIについては伸びが強まると予想されていますが、今後ガソリン価格の低下が見込まれる状況にあって中間財の価格が低下する可能性もあるため、今回は市場予想ほど伸びない可能性も指摘されているようです。
そのほか、9日火曜日にはパウエルFRB議長が上院銀行委で議会証言をします。これは半期に一度の定例証言で、金融政策に関する発言になるため注目されています。