【復習】2025年6月 Vol.1(2~6日)

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前週から高値切り下げ・安値切り上げ!【今週の相場材料とチャート】

今週の高値米雇用統計が上振れた金曜日の145円10銭付近で、これは前週の高値と比べて1円20銭ほど下でした。

今週の安値ドル売りが優勢だった週前半の142円30銭台142円10銭台で、これは前週の安値と比べて30銭ほど上でした。

 

今週の高値と安値を比べると、その差は約2円70銭でした。

米中の対話継続を好感!トランプ砲は賞味期限切れ…?【今週の相場材料を読む】

週足は高値切り下げ・安値切り上げとなり、引き続き方向感を探っているドル円相場を中心に、今週の相場材料を復習します。

前週末の材料

5月31日(土)の相場材料

・赤沢経済再生相が4回目の日米関税交渉に臨んだ

1日(日)の相場材料

ベッセント財務長官が、米国の債務上限問題について「米国がデフォルトに陥ることは決してない」と強く否定

2日(月) 日足:陰線

月初恒例の重要指標ラッシュを控えて様子見ムードも感じられるなか、前週末のトランプ大統領の発言が意識されてリスクオフ気味に推移。株が低く始まったほか、米ドル・米債も急落はせずとも上値が重い展開でプチ・トリプル安の様相。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

・ドル円や株はやや下窓を開けて、リスクオフ展開でスタート

 ― 前金曜日のトランプ大統領の発言(「中国が合意違反」「鉄鋼関税25%→50%」)が意識された

・報道:赤沢大臣が6日にも訪米し、5回目の日米関税交渉に臨む

 ニューヨーク時間 New York Session

米5月ISM非製造業景況指数は予想を下回る弱い結果

 ― ISM非製造業:49.9(予想 52.0、前回 51.6)

 ― 新規受注も軟調だったが、雇用指数は上振れた

・レビット報道官「トランプ大統領と習近平主席、週内にも電話会談の可能性」

 ― ただし、中国側からのコメントは出ず

・NY時間も戻りは限定的で、ドル円は142円台後半で取引終了

3日(火) 日足:陽線

東京時間は植田総裁の発言や10年債入札結果を受けて円安が進行。ロンドン時間にはユーロ圏HICPの下振れでドルが買われる展開となり、NY時間も米JOLTSが予想を上回ったことでセンチメントが改善。ドル円は高値を切り上げ、日足は陽線で終了。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

植田日銀総裁、参議院財政金融委員会で半期報告と質疑に出席

 ― 「将来の利下げ余地を確保するためだけに、利下げを急ぐことはない」→円売り

・WSJ報道:中国の新たな通商交渉担当、強硬姿勢を示す可能性

 ― 「習近平氏は新しい担当者に、譲歩しないよう明確な指示」との報道

・RBA議事要旨の公表と中国の指標悪化→オセアニア通貨売り

 ― RBA議事要旨は、ややハト派的(50bp利下げも議論)

 ― 中国財新製造業PMI: 48.3 (予想 50.7、前回 50.4)と大きく下振れ

・日本10年債入札:応札倍率3.66(前回2.54)と好調、市場にはサプライズ→金利低下

 ロンドン時間 LONDON Session

ユーロ圏5月HICPが市場予想を下回るユーロ売りドル買い

 ― コアHICP:+2.3%(予想 +2.4%、前回 +2.7%)

・ベイリー英中銀総裁「段階的かつ慎重な対応を継続」

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

JOLTS求人件数:739.1万件(予想 710.0万件、前回 719.2万件)ドル買い株買い

 ― 関税政策の影響が出始めると予想された4月分の件数増がサプライズ

米製造業新規受注:-3.7%(予想 -3.0%、前回 +3.4%)

 ― 関税導入前の駆け込み需要の反動とみられる

クックFRB理事利上げの可能性も排除できない

4日(水) 日足:陰線

東京時間は関税引き上げの発動や、異例の時間に行われたトランプ大統領のSNS投稿を受けて米中摩擦への警戒感が高まり、ドルは上値が重かった。NY時間にはADPやISMの下振れを背景にドル売りが加速し、ドル円は反落。前日の安値付近では支えられたが、日足は陰線で引けた。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

米国の鉄鋼・アルミ関税(25%→50%)が13時01分に発動

 ― 予定どおりではあるものの、市場にはやや警戒感

トランプ大統領が東京時間午後にSNSを更新

 ― 「個人的には習氏を好ましく思うが、非常にタフな交渉相手だ

 ― 米中関係の不透明感からドル売りが優勢に

 ロンドン時間 LONDON Session

・報道:日銀、来年度の国債買い入れ減額ペースの減速を検討

 ― ヘッドラインを受けて一時的に円売りが強まるも、「検討すること」自体は新規の材料ではなく、上値を更新できず反落

 ニューヨーク時間 New York Session

ADP民間雇用者数:3.7万人(予想 11.1万人、前回 6.2万人)と大幅下振れドル売り

 ― 金曜日の雇用統計に対する警戒感が高まり、ドル円は再び144円割れ

ISM製造業景況指数:48.5(予想 49.2、前回 48.7)ドル売り

 ― 予想に反する鈍化がサプライズ気味に受け止められ、ドル円は続落し143円も割った

米地区連銀経済報告ベージュブック

 ― 「経済活動の緩やかな低下」「見通しはやや悲観的で不確実性が高まっている」と報告

 ― 市場へのインパクトは限定的だったが、リスク選好の重荷に

・米上院、ボウマン氏のFRB副議長就任を承認

5日(木) 日足:陽線

東京時間は実需のドル買い・円売りや国債発行計画見直しへの期待感が支えとなり、前日の安値付近から反発。NY時間にはトランプ大統領による習主席との会談報告が好感され、ドル円は一時144円に迫った。ただし、翌日に雇用統計を控えるなかで高値更新には至らず。

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

日本の毎月勤労統計:実質賃金が4ヵ月連続マイナス

 ― 消費マインドへの影響が懸念される

ゴトー日による実需のドル買いが支えに

 ― 前日の安値付近(NY時間の下押し)で底堅く推移

日本の30年債入札:応札倍率2.92倍(1年半ぶりの低水準)

 ― 直後は円買いに反応するも、国債発行計画見直しへの期待感が下支え

 ロンドン時間 LONDON Session

中国商務省「米国に対し、対話を通じた問題解決を促す」とコメント

 ― 一方で、米中首脳の電話会議の可能性については「共有すべき情報はない」とした

 ニューヨーク時間 NEW YORK Session

米新規失業保険申請件数は:24.7万人(予想 23.5万人、前回 23.9万人)と予想外に増加

 ― 一時的にドル売りが強まる

中国メディア「米中首脳電話会談を実施」

 ― 実施予定が不明だったなかでのサプライズ報道だったため、急速にドル買いに転じた

トランプ大統領「習近平氏と1時間半の会談」とSNS投稿

 ― レアアースをめぐる問題の前進を匂わせるも、他の具体的な成果に触れず

 ― 今後は「事務方レベルで関税協議を継続」

6日(金) 日足:陽線

米雇用統計発表前までは今週高値を前にした様子見ムードが支配的だったが、予想を上回る雇用統計の結果を受けてドル買いが進行。その後は145円の節目で伸び悩みつつも底堅く推移し、週末の利益確定売りも限定的。日足はしっかりとした陽線で引けた

時間帯ごとの相場材料

 東京時間 TOKYO Session

米中関税をめぐる電話会談は目立った成果は報道されず

 ― ただし「協議継続」が確認され、リスク回避ムードはやや後退

週末&雇用統計前で積極的な取引は控えられる
 ― ドル円はじり高の展開となるも、前日の高値(144円台半ば)を上抜けできず

 ニューヨーク時間 New York Session

米雇用統計は一部項目に弱含みの兆しもあるが、雇用者数の上振れが好感されたドル買いリスクオン

 ― 非農業部門雇用者数:13.9万人(予想 12.6万人、前回 14.7万人*)

  *前回分は17.7万人から下方修正

 ― 失業率:4.2%(予想 4.2%、前回 4.2%)

 ― 平均時給(前年同月比):3.7%(予想 3.9%、前月 3.8%)と予想外の減速

 ― 労働参加率:62.4%(予想 なし、前月 62.6%)と低下の兆し

トランプ大統領「FRBは遅すぎる。1ポイント利下げを」とSNS投稿

 ― ドル円は145円の節目に到達した満足感もあり、上昇は一服

・週末を前にした利益確定売りは限定的で、ドル円は堅調に週末を迎えた

今週の相場をまとめると

【米中協議継続と好調な米雇用統計底堅く推移】

でした!

年内利下げ2回を織り込み【定点観測!FF金利先物】

 CMEのFedWatchツールによれば、今週、利下げ織り込みはやや後退しました。

 3週間前(画像1枚目)、1週間前(画像2枚目)、そして今週末(画像3枚目)のFedWatch比較してみます。

 年内の利下げ回数については、米国の関税導入による景気後退懸念トランプ政権による圧力から、一時は年3~4回が優勢でした。しかし、先月に引き続き今月も雇用統計が上振れパウエルFRB議長が利下げ慎重姿勢を維持していることもあり、現在は年内2回が優勢となっています。

見慣れないと分かりづらいかもしれませんが、この表は「いつのFOMC会合で(縦軸)、政策金利がどの水準になるか(横軸)」について、市場がどの程度織り込んでいるか(何%の市場参加者がそう考えているか)を示す表です。